福井県南越前町河野地区の越前水仙出荷本数の推移

 1月に河野地区で開かれた「荒波フェスタ」では、来場者に手渡す水仙を用意できず越前町に協力を求めた。河野観光協会の河本正則事務局長は「水仙が広がる風景を見たいという観光客にやむを得ず越前町を勧めることもある」と苦しい状況を明かす。

 有害鳥獣の被害防止策として南越前町は、ネットや電気柵を取り付ける集落に資材費の8割、個人に資材費の7割、設置費の半分を最大で補助している。ただ、急斜面での作業の困難さや被害が広範囲なことから、設置を希望しない農家もいるという。

 JA越前丹生が担当する越前町と福井市越廼地区の出荷数も、この10年は08年度の211万本をピークに、13年度154万本、16年度95万5千本と減少傾向にある。同JAは組合員の被害状況について「獣害が増えているという話は聞いている。栽培の中心は70代で、出荷量の減少は高齢化による生産性の低下が大きい。急傾斜という立地や体力的な面で、電気柵などの維持管理が難しい農家もいる」と説明する。

 市場に出荷していない農家の棚田や観賞スポットでも被害は広がっている。同町で先祖から受け継いだ畑を管理している男性(66)は、イノシシが掘った穴やシカに食いちぎられた水仙の葉を眺め「年々ひどくなっている。今季は5、6本しか花を付けなかった」と肩を落とした。

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