スクールカウンセラーらを対象にした研修会。福井県教委は「子どもたちの自殺の危険を示すサインに気付く『ゲートキーパー(命の門番)』になって」と呼び掛けた=2017年11月、福井市のアオッサ

 業務は学校によって千差万別。朝から晩まで子どもや保護者の相談に追われる人もいれば、1人も話さずに終わる人も。それでもある教諭は「(児童生徒)1人の悩みを聞くことに集中できる時間は少ない。どうしても教室全体を見ざるを得ないので助かる」と歓迎。常駐を望む声も少なくないという。

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 県内スクールカウンセラーの“先駆け”である坂井市の鈴木るみ子さん(59)の相談室で、ある女子生徒が話した。

 「私、家に帰らん。だってうちに居場所ないもん」。耳を傾けると「実は昨日から帰ってないんや」。コンビニの駐車場で知り合った男性の車内で一夜を明かしたらしい。今日もそうすると聞き、内心「まずいな」と思いながらもやめるよう注意はしない。

 女子生徒は母子家庭の一人娘。じっくり話を聞いていくと「母さんとケンカした。もう帰らない」と原因を話しだした。やりとりを交わした末、「家出して何が得られるの?」という問い掛けに答えたのは「お母さんの心配」。ぽろぽろと涙を流し「お母さんに私の方を向いてほしい」と本音を語った。

 話の途中、母親が血相を変えて駆け込んできた。「うちの子、来ていませんか」。「うるさいわ! いるわ」。女子生徒は、なおも反抗的な態度だったが、鈴木さんには「先生、お母さんがこっち向いてくれた…」と打ち明けた。

 後日、母親と面談して「内緒の話」として女子生徒の気持ちを伝えた。

 鈴木さんは「“通訳”するのがスクールカウンセラーの仕事」と話す。子どもと保護者、教員の懸け橋はもちろん、子ども自身にとっての通訳だという。「子どもたち自身が自分の思いが分からなくなっていることが多い。気持ちの整理をして、言葉にすることで、反抗したり引きこもったりしかできなかった子が前向きになれたら」

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