【論説】そもそも、東京一極集中の是正は可能なのか。総務省が公表した2017年の人口移動報告では、ブレーキが掛かるどころか、アクセルを踏み込んでいる状態だ。安倍政権の看板政策「地方創生」が機能していない証拠で、閣内からも看板倒れの批判が出始めた。国は当てにならない。地方がどう踏ん張るかである。

 東京都に埼玉、千葉、神奈川3県を含めた東京圏への転入者は転出者を11万9779人上回った。転入超過は22年連続だ。超過数は16年に5年ぶりに減少したが、逆に今回は09年以降で最大になった。

 大都市集中は地方の人口減少との対比でより加速。東京五輪・パラリンピックが開かれる20年に向け商業ビルやマンション建設が相次ぎ、転入超過は12万人を超えて増大する勢いだ。

 20年は安倍政権が「転入超過を解消する」と公約した目標年である。14年12月、政府は人口減少克服と地域経済活性化を目指して5カ年計画の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を閣議決定。重要目標がこれだった。長期展望に立った実効性ある戦略が欠如していたのではないか。

 地方は国の交付金獲得へ競って総合戦略を策定したが、大半が「金太郎飴(あめ)」だった。それでも地域独自の施策で地道な取り組みを展開、生き残りを懸けて成果を出す自治体も出ている。

 だが、全体では転入超過は東京圏と愛知、大阪、福岡の計7都府県のみで、全市町村の76・3%が転出超過だ。三大都市圏の名古屋、大阪圏も5年連続の転出超過。東京23区の転入超過数は東京圏全体の51%を占め、極点化が加速する。

 政府は23区にある大学の定員増を原則禁止する法案を今国会に提出予定だが、効果は疑問だ。志ある若者の学問の自由を阻害し、国際競争力の低下を招く矛盾もある。政府は地方の大学振興も図っているが、人口減で経営は厳しい。

 東京圏への転入は15〜29歳が全体の約5割を占め、転入超過の大半はこうした若者たちである。

 地方の人口流出は良好な雇用機会の不足が大きな要因だ。企業の本社機能移転や政府関係機関の移転も遅々として進まない。政府が抜本対策に本腰を入れず、その効果が全国津々浦々に及ぶはずがない。

 世界でも異様な一極集中は、権力の中央集権化と資本、人口の集積により地域格差を拡大させている。その東京は増大する高齢者リスクにさらされるのだ。ドイツのように多極的な都市システムが機能する手だてを講じていくべきである。

 福井県は1519人の転出超過だったが、転入者が197人増え、転出者は104人減。超過幅は301人減り、14年の2246人から年々好転している。

 若者のU・Iターンや「幸福度日本一」をアピールした移住戦略、地域資源を生かしたローカル産業振興などに力を入れ、着実に成果が表れている。地域の持続可能性を追求していく上でも福井の魅力を最大限磨き、いかに発信するかだ。

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