保護者や生徒とどう向き合うべきか、クラスを預かる教師たちは戸惑っている=福井県内の中学校の教室(記事中の学校とは関係ありません)

 学校現場が萎縮している、と福井市の公立中に勤務するベテラン男性教師(58)は訴える。

 「先生が『バカ』なんて言うていいんか? 教育委員会に言うぞ」

 騒がしさを注意された生徒の一部が、インターネットから得たであろう情報をちらつかせ、同級生と話すような「ため口」で教師に迫る。一喝したいが、保護者や市教委の存在がよぎり躊躇する。そんな光景が当たり前のようにあるという。

 同市の20代の教師は池田中の男子生徒自殺の調査委員会報告書に戸惑う。大きな声で叱る。忘れた宿題を何度もやらせる。自殺の要因に挙げられた点は、普段やっている指導と変わらない気がしたからだ。

 「大声を出さず、一人一人の心情を思って…」。頭では理解できるが、それで授業中に騒がしい生徒や、意図的に宿題をやらない生徒は変わるのか。手に負えない生徒を見るたび疑問が浮かぶ。

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 福井市教委には毎年120件前後、保護者からの「訴え」が直接届く。「学校で受け止めているものを加えればもっと多い」(市教委)。

 同市の中学校に勤める50代後半の校長は「学校に対する批判、非難の声が強すぎないだろうか」と考えている。「教師が“聖職”と呼ばれていたころは、学校で問題が起きると、親御さんはまず子どもたちが何をしたかを確認してくれた」。今は教師の言動だけを切り取って、あげつらうかのようなケースが少なくないと感じる。

 福井市の50代の女性教師も「能力のある先生が、親とのトラブルに悩んで疲弊していくケースを何回も見てきた」と話す。

 正しくても生徒に強く言えない先生、騒いで注意されても謝らない生徒、過ちを犯した子を怒れない親…。現場教師の話からは、かつてと一変した3者の姿が浮かび上がる。

 校長や女性教師らベテランは「親御さんが学校と一緒に考えてくれれば、子どもは期待以上の成果を出す」と強調する。逆だと子どもが抱える問題は解決せず、むしろ悪化するという。

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