思い出が詰まった健司さんの部屋で遺影に手を合わせる西尾裕美さん=1月9日、兵庫県伊丹市

 「君は親も教師も裏切った。人を裏切ることが一番悪いことや」「1年に2度も処分を受けるなんてわが校始まって以来の不祥事」

 同席を求められた母裕美さん(59)の前で、直立不動の健司さんを校長や学年主任らは厳しく叱責した。前年12月に続き2度目の特別指導。無期家庭謹慎を言い渡された。裕美さんが涙ぐむと、健司さんのすすり泣きが聞こえた。

 前年12月の特別指導は期末試験での出来事だった。級友に答案を見せたことがカンニングと認定され、8教科が0点。7日間の家庭謹慎を受け、3学期が終わるまで反省日記を提出することが課された。

 健司さんは仲の良かった弟に冷たく当たったり、物思いにふけったりするようなことが多くなっていったという。

 1月の終わりごろから家でたばこを吸うようになった。学校で喫煙が見つかった直後の反省文には「ストレスがたまっていて、吸ったら、それが少し和らぐかと思った」と書き、その後、命を絶った。

 裕美さんは、自分の涙が息子を苦しめたのではと悔いる一方で、「軍隊のような高圧的な指導」は間違っていると話す。「子どもなんて、周りが勝手にしている期待を、裏切って裏切って成長していくもの」だと思うからだ。

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 教育評論家の武田さち子さんの調べでは、平成に入ってから昨年10月までの29年間で、指導死は73件(9件は未遂)起きている。73件目が池田中の事件だという。

 池田中や大貫さん、西尾さんのケースをはじめ、指導をきっかけに命を絶つのは圧倒的に男子が多い。

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