大賞受賞を喜ぶ玉村綾音さん(右)と母のかおりさん=福井県坂井市の自宅

 ■母の言葉、生きる力に 大賞の玉村綾音さん

 小学3年の時、友人関係の悪化に悩んだ。「何で生きてるんだろ…」。苦しい思いを内に秘めて1年半。母のかおりさん(47)に「死にたい」と打ち明けた。

 かおりさんからすぐさま返ってきた言葉は「一緒に死んであげる」。はっとなった。「大好きなお母さんが死んだらいや。私は死なない」。中学2年の今、吹奏楽部でクラリネットを奏で、学校が終わればバレエに熱中する。トラブルがあった友人との仲は元に戻った。まな娘の姿にかおりさんは「困った時に助けてくれる。大人になってきた」と目を細める。

 一筆啓上賞への応募は8回目。今回の作品は国語の授業中に自然と出たという。「遠い存在だった」という入賞。しかも大賞で、まさに母娘の愛情がもたらしてくれた栄誉だった。2人は普段からよく話していて、これまで綾音さんから手紙を書くことはほとんどなかったというが、今回の受賞で「文字の重みを感じた」と話す。

 将来の夢は看護師。「いつも寄り添ってくれて、ずっと守ってくれるお母さんがいるから、どんな困難も乗り越えられると思う」。かおりさんの手を握り、優しい目を見つめながら、最高の笑顔を見せた。

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