【越山若水】落葉樹は丸裸で八方に手を伸ばし、針葉樹は針の葉を着てじっと立つ。本紙・新春文藝に入選した鯖江市の渡辺末子さんの詩は、雪の朝の厳しく清新な気に満ちる▼「銀世界の庭」と題された作品である。新年早々の改まった気分で読むうち次の詩句に目が留まった。「痩身(そうしん)の細枝多い/オリーブ ヤマブキ ユキヤナギ」▼鉢植えながら小宅にもオリーブの木があるのを思い、いっとき詩を味わうのを忘れた。平和を象徴する痩身の木が、いつからか随分身近になった。そう思い至った▼地中海沿岸が原産地とされ、日本では香川県の小豆島が国内栽培の発祥地。温暖な気候でなければ育たないとばかり思っていたが、このごろは東北でも栽培を試みているという▼実やオイルの産地は少なくとも10県に増え、戦国時代の様相だとのニュースもあった。足元の福井市でも昨年、園芸振興を図る協議会が三里浜の遊休地などに苗木を植えている▼オリーブオイルは健康的だというし、産地が多様化するのは結構なこと。でも、適地というのがやはりあるようだ。雨が多いと病気も多く、実がなりにくいのだという▼小耳に挟んだ話で恐縮だが、県内に好適な山間部があるとか。温暖化で冬も越せるらしい。きのうは冷え込んで、小宅の鉢植えは凍り付いた。話が本当なら春に息を吹き返すはずと願い、平和な閑話にしてみた。

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