【論説】森友学園問題を巡り政府が「ない」と突っぱねてきた「交渉記録」が出てきた。安倍晋三首相は加計問題を含め、衆院選自民党大勝でみそぎを果たしたと考えているようだが、国民の疑念は依然くすぶっている。疑惑解明に向き合い、説明を尽くすべきだ。

 新たに判明したのは、財務省近畿財務局が学園側との間で国有地売却に当たり8億円余りの値引きをした交渉過程の一端を示す文書。財務局の売却担当者から法務担当者への質問を記した「照会票」と回答内容をまとめた「相談記録」だ。

 それによると、2016年3月に地中からごみが見つかった際、学園側が撤去費を反映させた価格で買い取る旨を申し入れ「無理であれば、事業を中止して損害賠償請求せざるを得ない」と主張。その際、売却担当者から法的責任を問われた法務担当者が「損害賠償請求の可能性があり、速やかな方針決定が望ましい」と回答し、5月には「損害賠償を一切行わないとの特約付きの売買契約を締結し直す方がリスクは少ない」とも答えている。

 内容は、昨年の特別国会で財務省が事実と初めて認めた音声記録で、財務局側が「ゼロ円に近い金額まで努力する」などとしたやりとりとも符号している。

 大学教授の情報公開請求に財務局が開示したものだが、ほかにも隠していた文書はないのか、洗いざらい調査すべきだ。

 国会で追及された現・国税庁長官の佐川宣寿前理財局長は「面会・交渉記録は事案の終了とともに速やかに廃棄した」と答弁し調査の求めにも一切応じてこなかった。財務局は「開示文書は内部の検討資料で交渉記録ではない」とし、佐川氏の答弁との整合性を図りたいようだが、詭弁(きべん)としか言いようがない。

 8億円の値引きや異例の借地契約など森友学園に対して際立つのは「特例」扱いであり、首相の昭恵夫人が小学校の名誉校長に就任していたことが背景にあるとの疑念が拭えない。忖度(そんたく)により行政がねじ曲げられたか否か。首相は通常国会の代表質問で森友問題に関して「今後もしっかり説明しないといけない」と答弁した。ならば佐川氏は無論、学園側と交渉した財務省関係者の国会招致に応じるべきだ。

 加計学園問題では、獣医学部新設を認める答申をした大学設置・学校法人審議会(設置審)で実質的な審査を担当した専門委員会の議事を文部科学省が非公開としている。特区での学部新設を認める際に政府が設けた「既存の獣医師養成でない構想が具体化」などの4条件に関わる質疑が記録されている。検証のためには欠かせない資料であり、委員名を伏せるなどして即刻公表する必要がある。

 ここに来て疑念が持たれているのは、スーパーコンピューター開発の助成金詐欺事件だ。逮捕されたベンチャー企業の社長が政府の有識者会議委員を務めていた経緯がある。野党には、政権との関わりなど徹底追及を求めたい。
 

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