【越山若水】慣用句に「降って湧いたような」という表現がある。「天から降ること」と「地から湧くこと」が同時発生したような、思いがけない事態に遭遇することを指す▼温泉で有名な群馬県の草津白根山で火山爆発が起きた。噴石が訓練中の自衛隊員やスキー客を襲撃し死傷者も出た。まさに「降って湧いたような災難」である▼今回の噴火は火山性地震など異変を知らせる前兆が全くなく、警戒レベルは最低の「1」のまま。しかも可能性が高いとされた白根山とは別の本白根山で発生した▼火山国のわが国では古来、数多くの記録が残されてきた。1707(宝永4)年の富士山噴火では、その49日前に地震と津波が発生。その後「ふじ山は不断止事(やむこと)なく揺り候」と古文書に記されている▼そんな揺れも感じられず、最近は目立った火山活動もない監視網から外れた火口が噴火した。気象庁や火山学者、地元町民らは「想定外」の災害に虚を突かれた思いだろう▼全体に目を配る視野の広さを教えた格言を思い出す。「小鳥というのは目の前の獲物に注意を奪われ、鷹(たか)に頭上から狙われていることに気づかない」▼4年前に犠牲者63人を出した御嶽山災害以来「噴火速報」が導入されたが、今回予兆データが観測できず発表されなかった。「降って湧いたような噴火」にどう対応するか。火山国日本はまた一つ宿題を背負った。

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