行方不明となった現場の駐車場近くに設けられた献花台に花を供え、手を合わせる親子=20日、福井県越前市上太田町

 「生きていてほしかった」―。遺体で見つかった福井県越前市の田中蓮ちゃん(3)が行方不明となった同市上太田町の駐車場には20日、献花台が設けられ、近くの住民らが訪れ手を合わせた。無事の帰宅を願ってきただけに、無念さをにじませ「ただただ安らかに眠ってほしい」と祈りをささげた。

 献花台は近くの70代男性が、60センチほど積もる雪をかき分け、駐車場沿いに流れる吉野瀬川に向かって置いた。捜索にも携わった男性は「残念だ。やっぱり生きていてほしかった。それでも見つかって良かったという思いもある」と複雑な心境を語った。正午前には蓮ちゃんの父親の了士さん(30)が駐車場を訪ね、男性に「ありがとうございました」と深く頭を下げ、涙を拭いながら立ち去った。

 真っ先に花とジュースを供えた近くの60代女性は「早く見つかるよう神社にお参りしたばかり。言葉もない」。孫が蓮ちゃんと同じこども園に通い、よく遊んでいたという市内の50代女性は「元気で優しい子だったと聞いている。どこかで生きてくれていると思っていたのに…。ママとパパの所に帰れてよかった」と涙を流した。

 2歳の孫がいるという宇都宮順長さん(65)は、自主的に近くの川を捜索したこともあった。「私も2歳の娘を亡くしたことがある。このつらさは体験した者じゃないと分からない。ご両親はくじけずに立ち直ってほしい」と話していた。

 夕方には献花台は花でいっぱいに。ぬいぐるみやお菓子も供えられた。10分以上手を合わせる女性や、駐車場に隣接する了士さんが働く会社の玄関に、花束を置いて立ち去った人もいた。

 了士さん宅の近所の住民にも悲しみが広がった。捜索に参加した40代男性は「川に落ちてはいないのでは、との思いを抱いていた。残念だが、家族の元に返って来たことは、おじいちゃん(康雄さん)の言うとおり最後の親孝行だったのだと思う」。50代女性は「冷たい水の中でどんな思いだったのか、考えるだけでかわいそう」と目を潤ませた。

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