この問題をなくす方法は簡単です。僕たちがもっと高い料金を払えばいいだけのことです。でも、安くていいものが手に入ることに慣れてしまった僕たちは、すごい高級ブランドのものやサービス以外には、そんなに高い料金を払いたくありません。

だったら、価格が安いものやサービスに対しては、僕たちが「そこそこのクオリティでも十分」といって納得できるようになるべきです。実際におばちゃんの店は、あれでとってもいい場所だったんです。

おばちゃんの店のほかにも、よく行ったお店の記憶があります。通っていた若狭高校の近くには、600円で絶品を味わえるラーメン屋さんがありました。けれども、店内はめちゃくちゃ汚くて、お水はもちろんセルフサービスです。それでも、その店はそういう場所、十分に納得、いや満足していました。

地方のまちには、こういった「安いから許せる」といったお店やサービスがたくさんあったはずです。それが、消費社会の成熟にともなってだんだん許されなくなっているように感じます。その一方で、労働社会に過剰なしわ寄せが生じているのです。

安くて質もまあまあ低い、みたいな「許せるゾーン」も、実は「ホワイト」なんだと思います。安かろう悪かろうが労働社会を救うんじゃないかと思っています。

僕たちが運営している「ゆるパブリック」という団体の名前は、「ゆるい」と「パブリック」を合わせた造語です。この「ゆるい」という言葉には「プロや専門家じゃなくてもOK」とか、「やり方やスタイルはいろいろあってOK」、「目的やゴールよりもプロセスを重視しよう」といったさまざまな意味を込めています。そして、世の中の大きな流れや常識よりも、一人ひとりの「個別の納得」を大切にしていこうという「許し」の哲学を持っています。

僕たち福井人の多くは、自分たちへの田舎者だという開き直りの中に、この「許し」の哲学を持っているのではないでしょうか。すべてが完璧じゃなくてもいいじゃないか。補えることは補えばいいじゃないか。それが、買う人にとっても、売る人にとっても、心に余裕のもてる豊かさとなって暮らしにあらわれているんじゃないでしょうか。(筆者:ゆるパブメンバー 若新雄純)

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【ゆるパブコラム】福井の若者や学生、公務員、起業家、経営者、研究者などがゆるくつながり活動する一般社団法人ゆるパブリック(略称:ゆるパブ、2015年福井に設立)が、さまざまな視点から福井のまちの「パブリック」に迫ります。ゆるパブメンバーを中心に執筆中。

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