高齢夫婦とみられる2人の遺体が見つかったアパート。2人の異変は福祉の網に掛からなかった=2017年10月2日、福井市内

 福井市の市街地にある古い木造アパートの一室で昨年10月、住人の高齢夫婦とみられる遺体が見つかった。死後1カ月ほど経過していたとみられる。近所の住民によると、夫婦は町内会に入っておらず近所付き合いは希薄。民生委員の訪問は途絶え、在宅福祉サービスや介護保険サービスも利用していなかったとみられる。高齢社会で民生委員の負担が増す中、夫婦の異変は地域や福祉の網に掛からなかった。

 昨年10月2日午前、アパートの一室から「異臭がする」と住民が110番通報した。警察官が室内に入ると2人の遺体があり、扉の郵便受けから玄関に落とされた、読まれていない新聞がたまっていた。規制線は張られず、警察は日中のうちに室内の捜査を終えて引き揚げた。事件性を疑わせるものはなかったとみられる。

 複数の住民の話を総合すると、夫婦は70歳を超えており、妻は足が悪く、夫が自転車でドラッグストアに食材を買いに行っていた。夫婦を訪ねる人はほとんどなく、安否確認を兼ねて飲み物などを配る市の在宅福祉サービスや、デイケアなどの介護保険サービスを利用している様子もなかったという。

 住民の多くが「交流はなかった」と話す中、50代の女性は食べ物をお裾分けするなどして夫婦を気に掛けていた。8月下旬に扉をノックしたときは返事がなく、出掛けていると思ったという。「振り返ってみると、それ以降姿を見かけなかった。何で気付いてあげられなかったのか…」とショックを受ける。

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