白山の雪原に立ち並ぶ巨大な樹氷「アイスモンスター」=1月7日(早川康浩さん提供)

 東北地方の一部でしか見られないとされる巨大な樹氷「アイスモンスター」が16日までに、白山(石川・岐阜県境、2702メートル)で初めて確認された。樹氷研究の第一人者によると、南限だった長野を越えて国内最南端、最西端での発見。研究者に写真を送り、初確認につなげた山岳ガイド、乾靖さん(55)=福井県永平寺町=は、発見の夢をかなえ「白山の歴史の新たな1ページになった」と話している。

 国内の樹氷を研究している山形大の柳沢文孝教授(61)=環境科学=によると、アイスモンスターは0度以下の「過冷却水滴」が針葉樹にくっついて凍り、雪と一体化して木全体を覆ったもの。着雪とは異なり全体が氷になっているため、揺すったりたたいたりしても塊は落ちない。長野(菅平、志賀高原)で確認されたものが、記録のある1920年以降の最南端、最西端とされた。現在は山形の蔵王山や青森の八甲田山など東北地方に限られている。

 白山の写真は、1月7日に乾さんの知人の開業医、早川康浩さん(58)=金沢市=のグループが山スキーの最中に撮影した。場所は甚之助避難小屋(石川県白山市)の東側数百メートルの台地で登山道ではなく、標高約2100メートル。積雪が4~5メートルあり、早川さんらも初めてのルートを滑走中だったという。群生する数百本の針葉樹「オオシラビソ」が樹氷になっており「雪面上に出た木の上部約2~5メートルが、枝が全く見えない状態でモコモコしていた。立ち並ぶ景色は圧巻だったが、まさか大発見とは思わなかった」と振り返る。

 一方、柳沢教授に写真鑑定を依頼した乾さんは、白山国立公園の管理を担当。5年前ほどからアイスモンスターを探し回り、毎年3月ごろ、白山の樹氷を自ら撮影しては何度も柳沢教授に送っていたが、いずれもアイスモンスターに至っていないとされた。

 発見のために今季は厳冬期の入山も検討していたところ、早川さんらのホームページで写真に気付いた。写真を取り寄せ柳沢教授に送ったところ、枝と枝が完全にくっついている状態などから、初めてアイスモンスターだと認められた。

 柳沢教授は「今冬の北陸は雪雲が集中的に入り込むなど、たまたま条件が整ったのではないか。毎年出現するかは分からない」と分析。「雪が多すぎるとむしろ埋まってしまうので、タイミングも良かった。学術的に貴重だ」と話している。5月の日本雪氷学会で報告するという。

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