男性患者のニーズに応えようと外見ケアに取り組むアピアランスケアの専門家=福井市の福井県済生会病院

 男性患者も外見ケアを気軽に-。がん治療の副作用に伴う抜け毛や肌の変色など外見の変化に合わせてより自然に見えるように対応する「アピアランスケア」。近年、注目を集め福井県内でも取り組みが進んでいるが、男性患者の間ではためらいなどから認識が低いようだ。福井県済生会病院(福井市)の専門家は「男性が外見を気にすることはおかしなことではない。前向きな気持ちで闘病し、仕事との両立などよりよい社会生活が送れるようにするためにも関心を持って」と話している。

 アピアランスケアは、国立がん研究センター(東京)が2013年に医療機関で初めて独立した部門を設けた。同センター中央病院の調査では、患者にとって外見の変化が、身体的な痛みよりも大きな苦痛をもたらすこともあるとの結果も出ている。県内では「がん診療連携拠点病院」に相談所やサロンを設けるなどの取り組みが進んでいる。

 外見の変化は、仕事や地域行事、冠婚葬祭などで人と関わる機会の多い男性にとっても切実な悩み。県済生会病院が16年度に受け付けた約290件の相談のうち、女性が8割だったのに対し、男性は2割に過ぎなかった。外見の相談をすること自体に抵抗を感じたり、ウイッグ(かつら)やメークに対し「なじみがない」「男がするなんて…」と敬遠する人が多いとみられている。

 同病院には、同センターでアピアランスケア支援研修を受けた「オレンジクローバー」の資格を持つスタッフが県内最多の3人在籍。南館1階の「がん相談支援センター」で平日に相談を受け付けている。男性向けのケアとして▽眉を描き足す▽眼鏡、帽子の着用▽光沢のないマニキュアの使用▽スカーフネクタイ、タートルネックの使用-などがあるという。肌の保湿や爪のケア、付けまつげの仕方も指南している。

 男性の薄毛は女性に比べて社会的に受け入れられていることから、ウイッグを使わない人もいる。相談員の河内康恵看護師長は「本人がどの程度気にしているのかを把握し、対応する。病気であることを知られるのを心配するのであれば、ウイッグを使用するのも一つの方法」とする。「病気のことを他人に話すのが苦手な男性は多く、平気なふりをしていても気にしているケースがある。気軽に相談してほしい」と話している。

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