【論説】「事故はあってはならない」。その通りである。「米軍の飛行は安全確保が大前提だ」。当然のことである。沖縄県で米海兵隊のヘリコプター不時着が相次いでいる。先月には小学校運動場への窓落下事故も起きた。小野寺五典防衛相が「多すぎる。沖縄の皆さんの心配は当然だ」と憂慮するなら、県が申し入れたように、せめて原因究明まで全米軍機の運用停止を求めるべきでないのか。

 相次ぐトラブルは米軍普天間飛行場(宜野湾市)所属のヘリで発生。6日にはうるま市伊計島の東海岸にUH1ヘリが不時着。大型ヘリにより撤去されたばかりの8日には、読谷村(よみたんそん)儀間の廃棄物処分場にAH1攻撃ヘリが不時着した。現場から約300メートルの所に住宅地、約400メートル地点にはリゾートホテルがある。

 6日の不時着現場は防風林を挟んで民家から約100メートルしか離れていない。

 県内では2004年に沖縄国際大構内に大型ヘリが墜落炎上したのをはじめ、13年にF15戦闘機や救難ヘリが墜落、15年にはヘリ墜落で7人負傷、16年にも新型輸送機オスプレイが不時着大破、昨年10月には牧草地に大型輸送ヘリの不時着炎上事故も起きている。

 国内の在日米軍専用施設の約7割が集中する沖縄の現状は過酷だ。「どこでも生命の危険にさらされている。国民を守る大義のために沖縄が犠牲になっても構わないのか」(伊計自治会長)、「日米同盟が大事なら、負担は国民が等しく受けるべきだ」(読谷村長)と憤るのも当然である。

 防衛省沖縄防衛局によれば、2件のヘリ不時着は警告灯点灯による着陸で、米軍は事故を避ける「予防着陸」と説明している。ならば、なぜこれほど異常が発生するのか。徹底究明しなければ大事故につながる可能性がある。

 日本政府はその都度、米側の説明をうのみにし、飛行の早期再開を追認してきた。今回も小野寺防衛相は「再発防止」を申し入れたが実効性はあるのか。米追従姿勢を改め、日米同盟による地位協定の不平等性を抜本的に見直すべきだ。

 安倍晋三首相は「普天間の危険性除去には辺野古移設が唯一の解決策」と強調する。それは沖縄の置かれた厳しい立場や県民感情の軽視にほかならない。

 米海軍安全センターが発表した2017米会計年度(16年10月〜17年9月末)の事故統計によると、米海兵隊航空機に関し、最も重大な「クラスA」事故は12件発生し21人が死亡。07年以降最悪で、この10年間平均の2倍弱となった。海軍と比べ海兵隊の死亡数は異常に多いとされ、過去6年間では62人に上る。

 事故は世界各地で多発ししている。原因は軍事予算の大幅削減や一度に大量搭乗させる海兵隊の任務形態にあり、機体の整備・点検不足や訓練不足などが影響していると指摘される。

 こうした状況下に沖縄も置かれているとすれば、一層深刻な事故が起きる懸念が増してくる。辺野古移設では、何も解決しない。
 

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