【論説】サバの産地復活を目指し、小浜市などが取り組んでいる養殖事業が3季目に入った。育成する種苗の数を着実に増やしてきた一方、IoT(モノのインターネット)を活用して成育環境を管理するなどの効率化も図る予定だ。

 生産体制が整ってきた今、焦点は商品価値を高め、いかに販路拡大するかだ。商業分野では永遠のテーマといえる課題だろうが、産官学の一致した取り組みで飛躍してもらいたい。

 「鯖復活プロジェクト」として市と市漁協、県立大、サバ料理専門店を展開する事業者などが連携し、養殖事業やPR活動を展開している。

 養殖は同市田烏沖で2016年から開始。1季目は千匹、2季目は8千匹を育てた。3季目として昨年11月、初めて「小浜生まれ、小浜育ち」の人工種苗の養殖にも着手した。前季から残っている計2万匹を育て、毎年1万匹ずつ出荷する体制を整えている。

 古来、朝廷に食材を提供し御食国(みけつくに)と呼ばれた小浜。京にサバを運んだ鯖街道の起点としても知られ、市では「食」をテーマにまちをPRしてきている。「完全小浜産」のサバが出荷できるようになれば、御食国・小浜をアピールするのに大きな武器となるだろう。

 養殖サバは採算性から単価を高く設定する必要があり、これまで刺し身として提供してきた。その一方で市は本年度、業者の協力を得て、「へしこ」などの加工品化にも着手した。来年初めごろには完成する予定で、出来栄えが注目される。

 市内でへしこ作りは従来、安く仕入れられる県外産のサバを主に使っている。現時点で養殖サバは天然ものより価格が高く、採算性に課題がある。

 それでも、県内外に人気のあるへしこなどの加工品が完全小浜産となれば「小浜ブランド」としての価値が向上し、価格アップにもつながるだろう。また水温や酸素、塩分濃度を計測するIoTシステム導入などでの効率化により、より安く出荷できるようになれば現在の加工品の価格でも採算がとれる。

 漁業、加工業を次世代につなげるためにも、商品価値の向上、販路拡大は重要なテーマになる。どういった層をターゲットにし価格設定をどうするかなど、微妙なかじ取りが必要になりそうだ。

 また、最大の目標である「小浜に来て味わってもらう」ため、インバウンド(訪日外国人客)を視野に国内外にいかにアピールするかも大きな課題で、商品開発との両輪といえる。容易とは言えないかもしれないが、着実に地歩を固めている現状を見ると大いに期待が持てる。知恵を結集し実現してほしい。

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