【論説】2018年の国内政治を展望すれば「1強他弱」に変化があるか否かだ。安倍政権の独走政治は自民党、また野党の勢力図からも際立っている。それは「諫言(かんげん)の士」もいない自民党議員のだらしなさ、離合集散を繰り返し知力体力不足に陥った野党の双方に問題がある。このままでは政治のダイナミズムが失われる。各種世論調査が示すように、国民の多くは「これでよいのか日本の政治」と感じているのではないか。

 安倍晋三首相の第2次政権は6年目に入った。在職日数は1次含め戦後3位、戦前からは歴代5位だ。9月の自民党総裁選で3選を果たせば憲政史上最長の政権が視野に入る。果たして元勲伊藤博文や吉田茂元首相に比肩する名宰相たる人物か、質が問われよう。

 安倍首相の特性は強固な政治信念にある。第1次内閣が政権運営の未熟さからわずか366日で自壊したことも大きな教訓だろう。側近や主要閣僚を理念が共通する右派で固め、強靱(きょうじん)な体制を構築した。

 だが、最大の強さは祖父・岸信介元首相の悲願でもあった憲法改正への異常なまでの執念だ。

 自民党は結党以来「自主憲法の制定」を党是に掲げる。日本が主権を回復したサンフランシスコ講和条約発効から60年に当たる12年4月に「日本国憲法改正草案」を発表した。そこには「国防軍」も明記された。安倍首相が第2次政権を発足させたのはそれから8カ月後だ。年頭記者会見でも早期の改憲実現に一段と強い意欲を示した。

 こうみれば、異例の日銀一体による経済政策アベノミクスさえ宿願達成の手段に映る。国民の支持を持続するには、暮らしを安定させ、着実な経済成長力を数字で示す必要があるからだ。これほど分かりやすい目的を持った政治家が他にいるだろうか。

 そのためには首相の言う「政治はモメンタム」つまり、勢いが不可欠となる。

 デフレ脱却、地方創生、一億総活躍、女性が輝く社会、全世代型社会保障制度、人づくり革命、生産性革命など、次元の違う「スローガン政治」を間断なく打ち出す必要があった。

 だが、どの政策も満足な成果を出せず、実社会は格差と貧困、分断社会が広がる。経済成長率も目標の実質2%に達しないままだ。

 集団的自衛権行使を解禁した安全保障関連法や特定秘密保護法、「共謀罪」法を数の力で成立させた。森友、加計学園問題にみられるおごり、対米最重視の外交姿勢も、全ては強権体制の所産だ。安倍首相に求められるのは誠実で丁寧な、虚言なき政治ではないか。

 20年の東京五輪・パラリンピックが終われば経済減速は必至の状況。25年には団塊の世代が後期高齢者となる超高齢社会が本格化する。社会保障制度の維持や巨額の財政赤字をどうするのか。力強く見栄えは良いが、将来に付けを回す課題先送り政権では困る。

 持続可能な社会へ本音で語り、国民と苦労を分かち合う政治家が出現すべきだ。
 

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