【越山若水】「破落戸」。この漢字をすんなり読める人は少ないだろう。驚くなかれ、正解は「ならずもの」または「ごろつき」だという。なぜそんな読み方になったのだろう▼その理由は「悩ましい国語辞典」(神永暁著、時事通信社)に詳しい。中国の話し言葉に「破落戸」という語があり、明代の歴史小説「水滸伝」にも登場する▼本来は「落ちぶれた旧家やその子弟」のことを指した。それが転じて「手が付けられない者。盛り場をうろつき悪事を働く放蕩(ほうとう)者」を意味するようになったという▼この小説は日本でも江戸時代に翻訳され評判に。曲亭馬琴「南総里見八犬伝」にも「破落戸」の使用例がある。明治以降もその熟語は残り「ならずもの」「ごろつき」という訓読みが定着したらしい▼余談ながらクリントン米大統領が1994年、世界平和を脅かすイラクや北朝鮮などを「rogue(ローグ) states(ステーツ)」と呼んで糾弾。これも「ならずもの国家」と翻訳された▼昨今の国際情勢で「破落戸」と言えば、誰しも北朝鮮を思い浮かべるだろう。国連の制止にも耳を貸さず核・ミサイル開発を強行、反発を買っている▼昨年のミサイル発射は15回、うち7回は日本近海に着弾した。何しろ北は独裁体制。平昌(ピョンチャン)冬季五輪では対話姿勢を見せるが、米トランプ政権は「力による平和」を公言する。「破落戸」国家から目が離せない。 

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