【論説】今年も日本経済は緩やかな成長が続くだろう。米国など堅調な世界経済を軸に、雇用や所得環境も改善傾向にある。ただ、内需はまだ力強さを欠き、核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮などの地政学的リスクや、米国の金融引き締めで新興国経済が低迷する懸念材料もある。そうなれば、日本の景気回復シナリオが狂ってくる。デフレ脱却へ正念場となりそうだ。

 今や潜在成長率が0%台ともされる日本だ。高度経済成長期の平均9・1%、安定成長期の4・2%成長からみれば及ぶべくもないが、実質国内総生産(GDP)は2017年7〜9月期まで7四半期連続のプラス成長を記録した。

 12年12月に始まった景気拡大は5年に及ぶ。1965年11月〜70年7月まで57カ月続いた「いざなぎ景気」を超え、戦後2番目の長さだ。昨年12月11日には日経平均株価も約26年ぶりとなる2万2938円73銭を記録した。

 輸出が好調な大企業業績に加え、20年の東京五輪需要も好材料となる。民間シンクタンクなどはGDP成長率が2・1〜0・7%を予想。全体で1・5%以上との見方が多い。株価は2万8000〜3万円強と強気の読みもある。

 一方で気になる材料も。景気拡大期間とされている中で、14年度は消費税増税の影響によりマイナス成長だったはずだ。なぜ景気後退と判定されないのか。事実上の水増しと言われても仕方がない。

 日常生活でみれば、好景気が続いているという実感には乏しい。内需のうち、企業の設備投資は増加傾向だが、GDPの約6割を占める個人消費は前期比0・5%減と低迷。自律的成長には馬力不足だ。

 消費動向の鍵を握るのは春闘での賃上げである。最近の有効求人倍率は1・56倍と約43年ぶりの高さ。完全失業率も2・7%と24年ぶりの水準に達している。安倍晋三首相は、こうした雇用の改善を攻め道具に、民間企業に対して3%以上の賃上げを要請した。

 さらには「生産性革命」と称して、賃上げや設備投資に積極的な企業には法人税率を引き下げる方針を打ち出した。400兆円超ため込んだ企業の内部留保に手を付ける戦術だ。

 首相とともにアベノミクスをリードしてきた黒田東彦日銀総裁は、13年3月の就任から5年の今年4月に任期満了を迎える。「ポスト黒田は黒田」とも予想されるだけに、今の金融緩和路線を終わらせる「出口戦略」は見えづらい。

 景気持続へ不安材料は19年10月に予定される消費税率10%への引き上げだ。首相が過去2回先送りしたように、経済情勢次第となる。今秋にも判断を迫られる可能性がある。

 大企業中心の「官製経済」を主導し、一方で政府債務を日銀が穴埋めする「財政ファイナンス」を続けても、首相の実質GDP2%、黒田総裁の物価上昇2%の目標達成は厳しいままだ。経済運営の実効性が試されることになろう。
 

関連記事
あわせて読みたい