【越山若水】和歌山県かつらぎ町の天野地区は、移住者を受け入れるのに「田舎ぐらしの7ケ条」を掲げている。こんなはずではなかった、と後悔してほしくないからだという▼第1条には「現金は要る」。次いで「プライバシーは無いと思え」「農業では食えないと思え」「参加を求められる地域行事の多さを覚悟せよ」と続いていく▼第5条の「運転免許は必需だ」と合わせ、助言は現実的だ。そしてあと二つ。「自分の今までの価値観は通用しないと思え」「自然は時として大きな脅威になる」▼先月18日発行の「町村週報」で、作新学院大の橋立達夫名誉教授が紹介していた。記事によると天野地区は、戸数が200ほど。このうち1割を占める20世帯が移住者だという▼「7ケ条」を一言でいえば、田舎暮らしに甘い幻想を抱かないでということ。もちろん親切心からの忠告である。としても改めて聞くと移住に尻込みする。それがもったいない▼元日の本紙で雑誌編集長の指(さし)出(で)一正さんが語っていた。「関係人口」が現代のキーワードであり、地方は「観光以上、移住未満」の人を増やせと▼都会からわざわざ来て行事を手伝ったり、地域づくりに知恵を貸したり。そんな人たちのことだ。彼らはお気に入りの田舎を楽しめ、地元は心強い援軍を得る。そのうち移り住む人があるかどうか―。縁は異なもの、と待つのが良策。

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