坂本龍馬研究の第一人者で京都国立博物館上席研究員の宮川禎一さんが考えた「閣僚名簿」

 龍馬は最後まで「春嶽公」とは口にしていないし、春嶽に頼みに行ってもいない。盟主を誰にするか、諸藩の議論が紛糾し、膠着した最後の段階で春嶽の名を出すつもりだったのだろう。政治ゲームで最善のカードを簡単に切るわけがない。策士・龍馬らしい。

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 橋本左内ら有能な藩士を登用し、脱藩浪士の龍馬にも会い、神戸海軍操練所の資金をポンと出してくれる。「こんな理解のある殿様は見たことない」というのが龍馬の気持ちだろう。最も尊敬する人物をトップに担ぎ出したいと考えるのは自然だ。

 強者が権力を独占するのでなく、有能な人間の発想を集め、みんなが意見を出し合い、国の指針を定めていく。「排除型」ではない「みんな参加型」の政治。龍馬が「春嶽首相」で見据えていた新国家像は、そんな姿ではないか。

 仮に明治新政府の発足と同時に内閣ができていたらと考えて作ったのが「閣僚名簿」だ。お正月の「初夢」として福井以外の方は怒らずに、ご笑覧いただきたい(笑)。

 調整型の春嶽、龍馬なら、江戸、越前、長州、薩摩、土佐など有力諸藩の均衡を重視した布陣を組んだだろう。官房長官を務める龍馬が主導してつくった政権なので、龍馬の「お友達内閣」というところかな。

 首相補佐官は中根雪江。ドラマなどで「頑迷な保守政治家」という描かれ方をするが間違いだ。薩摩、長州、幕府など交友範囲が広く、考え方が偏っていない。人間的優しさもあり、幕末の極めて優秀な政治家だ。

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