【越山若水】JR鹿児島中央駅から歩いて10分足らず。甲突(こうつき)川左岸の小道を下ると、木立に囲まれた公園とおぼしき空き地に相次いで出合う。それぞれ立派な石碑が立っている▼一つは大久保利通の生まれ育った所、もう一つは西郷隆盛・従道兄弟の誕生の地だ。近くにはさらに大山巌や東郷平八郎の生地も。全員「加治屋町」の出身だ▼明治維新から日露戦争までを、一町内でやったようなもの―。故司馬遼太郎さんの感慨が、来てみて胸に迫った。この狭い地域が、国運を握る核心だったのか、と▼彼ら多くの偉人が輩出した薩摩には及ばずとも、越前福井だって数々の俊英を生んだ。この時代、明と暗は紙一重。越前が国政の表舞台を切り回していても全く不思議ではない▼きょうの本紙第3部に注目していただきたい。“閣僚名簿”が載っている。明治新政府の初代首相が松平春嶽で副総理に大西郷、官房長官に坂本龍馬。心躍る顔、顔、顔である▼慶応が明治に改元されたときの狂歌がいまに残る。「上からは明治だなどというけれど治明(おさまるめい)と下からは読む」。高圧的な薩長官軍への反感は強かった▼春嶽内閣なら「みんな参加型」の新国家像を描いたのではないか、と名簿を作った宮川禎一さんは話している◇幕末明治150年。あけましておめでとうございます。春嶽、龍馬の政治を思い、どうぞ良い初夢を。

関連記事
あわせて読みたい