【越山若水】「去年今年(こぞことし)貫く棒の如(ごと)きもの」。高浜虚子が1950年暮れ、新春放送用に詠んだ有名句である。たった一夜で呼び名は変わるが、歳月を貫くものは変わらない…▼そのとき虚子は76歳。年齢を重ねた俳人らしくどっしりと構えた大柄な一句である。鎌倉駅に掲示されたものを、川端康成が随筆で取り上げ一気に知れ渡った▼日本の今年を振り返り、来る新年に思いを巡らすと、そこを貫流する「棒の如きもの」に不安を覚える。それはわが国が抱える社会的かつ政治的な重要課題である▼何かと言えば、とどまることのない「少子化」だ。厚生労働省によると、2017年生まれの赤ちゃんは約94万人。2年続けて100万人を下回り、統計を取り始めた1899年以降最少とみられる▼今年話題の「未来の年表」(河合雅司著、講談社現代新書)は人口減少で起きる問題を描き出した。介護離職の続出、東京都の人口低落、輸血用血液の不足などを指摘する▼さらに例を挙げれば、18年は大学淘汰(とうた)の時代。20年は女性の過半数が50歳以上になる。39年になると多死社会に入り、深刻な火葬場不足に陥るという▼少子化問題は社会保障費の負担増や消費の低迷、ひいては経済の先細りなど悪影響を与える。30年ほど前から言われていたが、それを怠ったのは政治である。自ら招いた「国難」に来年こそ全力投球を望みたい。

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