発売されたライトノベル本「ぽんしゅでGO!」

 福井県大野市明倫町の酒蔵「真名鶴(まなつる)酒造」を題材にしたライトノベル本が22日、全国の書店で発売された。主人公は同社の息子という設定で、主要な登場人物の名前に日本酒の銘柄が採用されている。市内のまち並みや名所、景色も細かく描写され、同社は「若者に日本酒を身近に感じてもらえたらうれしい。本をきっかけに大野のまちも活気づけば」と期待を寄せている。

 創作小説「ぽんしゅでGO! ~僕らの巫女(みこ)とほろ酔い列車旅」は、人気ユーチューバーを目指して上京した主人公が大野市へ帰郷し、日本酒を通して周りの人を幸せにしていく物語。突如現れた日本酒に宿る「酒精(しゅせい)巫女」に連れられ、電車で帰郷する場面から幕が開ける。主人公が酒造家の父が仕込んだ酒を初めて飲み感動する場面や酒米を田植えするシーンなどが描かれている。

 日本酒好きの人気小説家、豊田巧さんがペンを取った。約3年前に関係者との間で話題となったアイデアが、酒に精通した大野市出身者の紹介で実現したという。同社酒造家の泉惠介さん(54)は、取材の依頼を受け「日本酒の概念にとらわれず、新たなことに挑戦していきたい」と二つ返事で了承した。

 昨年12月には豊田さんが同市を訪れ、酒蔵やまち並みを取材した。登場する酒精巫女「美雨」と「初雪」は、同社の酒「美雨 rose」「初雪だより」から採用。市内のまち並みも登場人物の言葉で「こんな感動的な景色を見たのは初めて」と表現した。豊田さんは後書きで「私が感じたこと」とつづっている。

 そのほか、越前大野城が雲海に浮かぶように見える「天空の城」や市街地にある公園、自然の恵みで育まれた「名水のまち」なども随所にちりばめられている。

 泉さんは伝統を守りながら、若者の味覚に合わせた酒造りなどにも取り組んでいる。本が発売され「伝統的なものは間口が狭く、最初の一歩が踏みだしにくい。初心者でも気軽に飲めるよう、日本酒の世界を広げていきたい」と気持ちを強くしていた。

 集英社発行で294ページ。税込み648円。

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