【論説】「新聞感想文」をご存じだろうか。聞き慣れないものの、想像はつくかもしれない。記事を読んで感じたことを書くだけと思われるだろうが、「思考力・判断力・表現力」の向上に結びつくと、各地でコンクールが行われている。

 県内でも県NIE推進協議会が窓口となって、小中高校生対象の「いっしょに読もう!新聞コンクール」(日本新聞協会主催)が行われている。今年は、21の小中学校から2千を超える作品が寄せられ、年々増えている。

 児童生徒が新聞を読んで気になった記事をピックアップ。▽選んだ理由や感想、考えたことを書く▽次に家族や友達にもこの記事を読んでもらって意見を聞いて話し合う▽そしてもう一度自分の意見や提案、提言をまとめる―。元々、新聞を教育に活用していくNIEの取り組みとして始まり8回目を迎えたが、ここにきて新学習指導要領にも盛り込まれた「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)の手法の一つとして注目されている。

 社会のさまざまな事柄が書かれている新聞から自分が関心をもった題材や課題を見つけ考える。また他の人の意見を聞くことで、自分の考えをより深め、そして発信する。こうした学びを繰り返すことで、社会で生きていく上で大事な思考力や判断力、表現力を育んでいけるという。

 全国表彰された福井市松本小6年の井川ひなたさんは、高齢労働者を取り上げた福井新聞の記事から、現状だけでなく少子化にまで関心を広げ、若者を助ける専門の高齢者だけの会社を提案。孫を連れて通えるなど具体的なアイデアも盛り込み、高い評価を受けた。

 新聞感想文はこのほか、記事を読み比べて共通点や相違点を見つけるもの(東京都北区)や、大学生を対象としたもの(福岡工大)など形を変えて広がりを見せている。

 考えを文章にまとめるだけでなく、プレゼン力をつける「新聞スピーチ」もある。県内の学校でも取り入れられており先日、大野市上庄小で開かれたコンテストを見学した。予選を勝ち抜いた6人の児童が車の自動運転や受動喫煙、テロと平和についてなど、それぞれがしっかり考えをまとめて発表していた。

 聞いている児童たちも真剣で、発表に対してしっかり自分の意見を述べており、こうした対話が広がっていることを、新聞に携わる者として頼もしく思った。

 日進月歩で変化する社会の中、常に学び、考えることが大切で、アクティブ・ラーニングはこうした資質を高めるとされる。新聞感想文がより多くの学校で活用されることを望みたい。
 

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