電子マネーの決済端末を導入した食肉店。「最近、鯖江でも電子マネーを利用する客が増えてきた」と店主は話す=13日、福井県鯖江市

 福井県鯖江市が、現金を使わず電子マネーやクレジットカードで買い物できるキャッシュレス社会の推進に取り組んでいる。地元の店舗へ向けた決済端末機整備費補助や、行政の業務用カードに電子マネーカードを活用するなどの施策を展開。地域経済活性化や移住促進への活路を見いだす。

 市は1日から職員証をICカード化したのに合わせ、地域密着型の電子マネーカード「JURACA(ジュラカ)」を業務用カードとして活用できるようにした。夜間の入退庁や庁内のコピー複合機利用の管理機能をジュラカに付加することが可能になった。牧野百男市長は式典で「職員が先頭に立ってキャッシュレス社会の浸透を図っていきたい」と意気込んだ。

 推進へ向けた取り組みはこれだけではない。市は県とともに地元の小規模な飲食や小売店などを対象に電子マネー決済端末代の3分の2を8万円を上限に負担する補助金制度を4月から導入。他のサービス業についても、クレジットカードや電子マネーの端末代を市独自で最大2万5千円助成する制度も設けた。

  ■  ■  ■ 

 日本銀行の決済動向調査によると、電子マネーの累計決済金額は2016年に年間5兆円を突破。総務省統計局の調査では、利用世帯の割合は16年で全国平均40・4%。8年前に比べ22・4ポイントも上昇した。

 鯖江市内で9月、電子マネー決済端末を導入した「ミート&デリカささき」(鯖江市)の佐々木隆治社長(66)も東京や大阪の百貨店のイベントに出店した際に「都市部では100円の買い物でもカードを使う人が多かった」と指摘。「最近、鯖江でも電子マネーを利用する客が増えてきた。買ってもらうチャンスを逃す手はない」と地方にも近い将来同じことが起こると確信している。

 ただ市内での現状は低調で、12月までに補助事業が適用された件数は、県との制度が8件、市独自の制度が1件にとどまる。制度の周知を図っている鯖江商工会議所の担当者は「商店主は必要性は感じているもののリアクションは薄い。まだ様子見のきらいがある」と話す。
 コンビニエンスストアやファストフード店では市内でも利用できるのが当たり前になってきているだけに、市は地元店が後れを取っている現状に危機感を募らせる。

  ■  ■  ■ 

 キャッシュレス社会の射程はU・Iターン促進にも及ぶ。市の担当者は「都市部で電子決済に慣れ親しんでいる人たちが鯖江市でも同様の生活を送れる環境を整備することが移住の促進につながる」と強調する。

 来秋は福井国体、20年には東京五輪があり、県内は絶好の“商機”を迎える。訪日外国人客はクレジットカードなど電子決済を好む傾向にあり、市商工政策課は「キャッシュレス対応が地域経済の活性化につながることを、広く周知したい」としている。

関連記事
あわせて読みたい