【論説】「いざなぎ景気」を超える長期の景気拡大で、税収は27年ぶりの高水準となる59兆790億円を見込む。だが、新規国債発行額は前年度に比べやや抑えたとはいえ、33兆6922億円と高止まりしたままで、歳入の3分の1は借金で賄われる。家計ならとうの昔に破綻しているはずだ。

 政府の2018年度予算案は一般会計総額が97兆7128億円と6年連続で過去最大を更新した。景気が改善しているからこそ、本格的な財政再建に取り組むべきだったはずだ。膨張予算は借金残高が1千兆円を超え、先進国で最悪という現実からまたも目をそらしたと言わざるを得ない。

 6年連続で増額となった防衛費は、過去最大の5兆1911億円。緊迫化する北朝鮮情勢などに備える必要性は理解できるが、トランプ米大統領への「ご機嫌取り」がちらつく。来年の「防衛計画の大綱」改定を待たずに、地上配備の迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」や長距離巡航ミサイルなどに予算付けしたのは早急ではないか。

 社会保障費も過去最大の32兆9732億円に膨らむ。高齢化の進展に伴い増大する一方、切り込み不足が否めない。診療報酬の改定では薬価を下げたが、医師の人件費などの本体部分は0・55%引き上げた。10月の衆院選で自民党を支えた医師会に対し、政権が「恩に報いた」結果という。

 トランプ氏にしても医師会トップにしても安倍晋三首相のいわば「お友達」。「森友、加計学園問題」で国民の疑念を招いているのに、またぞろ繰り返すのは1強体質そのものだ。

 前年度の3月補正に主要な事業費を盛り込む「からくり」も毎年のように繰り返される。17年度3月補正予算案2兆7073億円には防衛関係費2345億円や、看板政策「人づくり革命」と「生産性革命」の計4822億円を計上。当初予算案を見かけ上少なくする姑息(こそく)さが透ける。

 人づくり革命の柱の一つである保育定員枠の増大では、政府は20年度までに32万人分を確保するとしているが、民間の研究機関からは88万人分が必要との調査結果が出ている。初めから諦めて申し込まない潜在需要が相当数に上るとの指摘だ。各省庁に潜む机上の数字は徹底検証されるべきだろう。年明けの通常国会での論戦を注視したい。

 県内関連では、北陸新幹線金沢―敦賀間の地元負担を含めた事業費は2250億円を計上。17年度比910億円増で、23年春の開業に向け長大トンネルなどの工事が本格化する。敦賀―新大阪間のルート調査費は17年度と同額の11億円が盛り込まれた。

 廃炉計画を原子力規制委員会に申請した高速増殖原型炉もんじゅの関連費用としては17年度当初と同額の179億円を計上。廃炉費用が25億円、維持管理費は154億円を見積もる。燃料取り出しや冷却材ナトリウムの処理処分も不透明だ。具体的な廃炉作業が描けないままの同額予算化では県民の理解も得られまい。
 

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