【越山若水】16世紀のイタリアの外交官・マキャベリが著した「君主論」は、理想論でなく現実を踏まえた政治論として知られる。特に君主の力量について詳しく論じている▼一般に人の上に立つ者は、気前がよく鷹揚(おうよう)なのがいいと思われる。ところが「君主は吝嗇(りんしょく)(ケチ)であるべきだ」と全く逆の提言をする。その理由とはこうだ▼「大勢の人に気前よく振る舞おうとすれば、出費がかさみ財産をいずれ使い果たす。さらにおごろうとすると、必然的に民衆に重税をかけるしか方法がなくなる」▼だから「ケチだという評判を気にせず、節約に励めば歳入も十分足りて民衆に負担をかけない。結局は支持を集めるはず」と説諭する。恩情より冷酷であれ―など過激論は別にして、筋は通っている▼2018年度の予算案が決まった。総額は97兆7千億円と6年連続で過去最大という。景気拡大で税収増加を見込んで、巨額の借金を減らす財政改革はまたも見て見ぬ振り▼確かに高齢化が進み社会保障費は予算の3割を占める。「人づくり革命」の旗の下、子育て支援や教育費軽減の取り組みも大事な「思いやり」だろう▼一方で北朝鮮のミサイル脅威を根拠に米国製武器を購入する防衛費の増大、選挙支援の見返りのような医師報酬のアップなど妙な「思いやり」も見えている。回復途上の日本経済である。節約もまた忘るべからず。

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