【論説】関西電力は大飯原発1、2号機が運転40年を迎えるに際して廃炉を決定。福井県と地元おおい町に説明する。単に費用対効果で判断したとするなら、原発の安全確保を前提に「共生」に努めてきた立地自治体に失礼な話だ。十分説明を尽くす必要がある。

 発電コストが安い大型炉の延命が阻まれたのは、東京電力福島第1原発事故後の再稼働環境が厳しさを増している状況を物語る。政府のエネルギー基本計画の見直しにも影響しそうだ。

 原子力規制委員会は厳しい新規制基準を定め、原発をふるいに掛けている。審査に合格すれば、原則40年運転を超えて最長60年まで20年間の延命が可能だ。

 過酷事故後、福島第1を除き、国内では関電美浜1、2号機、日本原電敦賀1号機の県内3基を含め計6基の廃炉が認可された。いずれも出力30万〜50万キロワット台の小型炉である。

 1979年3月、12月に営業運転を始めた大飯1、2号機は出力117万5千キロワット。100万キロワットを超す大型炉の廃炉は福島を除き全国初となる。電力各社が大型炉の再稼働を目指してきたように、関電も表向き10月の段階でも「申請の準備を進めている」としていた。しかし、巨額の安全対策費に窮し採算が合わないと判断したようだ。

 関電保有の原発は11基。うち再稼働決定済み7基の安全対策費に最低でも約8300億円が必要になる見込みだ。大飯1、2号機は各2千億円以上に膨らむ可能性もあり、このままでは関電が再稼働に投じる総額は1兆円超。膨大なコストが経営の足かせになる。

 関電の経営環境は厳しい。電力市場の全面自由化で顧客が流出。家庭用、法人用とも落ち込み、販売電力料はピーク時の2010年から7年連続の減少だ。火力発電の燃料価格上昇も経営を圧迫する。原発依存度が高い関電にとって、運転停止を求める訴訟や仮処分申請も相次ぎ「司法リスク」も高まる一方である。

 原発で問われるのは安全性だ。1、2号機は10、11年の定期検査以降、停止中だが、安全だったのか。

 2基は3、4号機と同じ加圧水型とはいえ、事故時の安全装置が異なる。1次系配管が破断した場合、高圧蒸気による原子炉格納容器の破損を防ぐため、水ではなく1250トンの氷で急速冷却する「アイスコンデンサ方式」を採用。国内で唯一の特殊構造だ。

 格納容器の容積は3、4号機に比べ約半分。設計耐圧も4気圧に対して0・94気圧と非常に低く、壁の厚さも薄い。このため壁面の補強や循環冷却装置、内部の蒸気を放出するフィルター付きベントの設置も要求され、多額の費用と工期が必要になる。

 新規制基準と安全対策が「世界一厳しい」とされるのは、二度と過酷事故を起こさないためであろう。であるなら、他の原発以上の事故リスクを抱えながら30年超の運転を続けてきたこと自体が問題ではないか。関電は廃炉理由の詳細を県民にも明確に示すべきだ。
 

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