【論説】公務中の市長室で女性と不適切な行為を行ったとして、橋本達也あわら市長が辞職した。市民の信頼を大きく損なったのはもちろん、不祥事の発覚から辞職表明まで1週間が経過。2018年度予算案に加え、北陸新幹線県内延伸や福井国体・障害者スポーツ大会、少子高齢化対策など課題が山積する中で、市政を停滞させ混乱を招いたことを考えれば遅すぎた決断だったといえよう。

 橋本氏は4年前の不適切行為問題が発覚した12日の会見では、事実を認めた上で「弁解の余地がない。市民に不愉快な思いをさせた」と謝罪。13日には辞職を含め「熟慮したい」とした。

 一方で、18日には会見で女性側を恐喝未遂容疑で告訴する意向を示した。女性側も告訴を検討しているとしており、刑事事件に発展する様相を呈し始めた。

 だが、本来問題にすべきは公務中の市長室での不適切行為だ。市会定例会の最終日は20日だが、協議が市民生活の課題でなく、市長の進退問題に割かれてしまったのは、まさに市政を混乱させたと言わざるを得ない。

 18年度当初予算案も急きょ骨格編成にならざるを得ず、今後も混乱の余波が続くのは間違いない。

 橋本氏は07年、2中学の統合、存続を巡り市を二分した市長選で、市議を辞めて出馬し初当選。現在3期目だった。

 10年には「若い世代が住み、生み、育てたくなるまちづくり」実現に向け健康、教育、環境などの頭文字を取った「HEECE(ヒース)構想」を発表。子育て支援や雇用対策、医療費助成などに取り組んできた。だが、3期目半ばの辞職は構想の継続性にも影を落とす。

 北陸新幹線県内延伸に向けたJR芦原温泉駅周辺整備計画も待ったなしだ。市は先日の市会全員協議会で、建設費や維持費など財政的懸念から、素案を大幅に見直した案を発表。市議からはさらに見直しを求める声も出た。新幹線駅舎デザイン3案も示されており、市民の意見を踏まえて早急に決定しなければならない。

 全国で首長や議員の不祥事が相次いでいる。最近では岩手県岩泉町長が、女性記者にわいせつ行為をしたとして辞職。お隣の石川県加賀市の市議はインターネットで飲食店を中傷するコメントを書き、辞職勧告を受けた。

 共通するのは、公人としての行動に対する認識の甘さだ。ましてや公務中は己を厳しく律した行動が求められるのは当然だ。

 市長選は来年1月末か2月初めが想定される。新幹線開業まであと5年余り。次期市長には、喫緊の課題に取り組むよほどの熱意と覚悟が問われる。
 

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