「村総会設置のためには、さらなる法整備が必要」と訴える和田知士村長=11月、高知県の大川村役場

 人口約400人の高知県大川村で、村議会に代わる「村総会」の設置の検討を打ち出した(現在は検討を中断)和田知士(かずひと)村長(58)に、検討の理由や人口減が進む村の現状を聞いた。和田村長は「現行法では、公務員などは議員になれない。であれば、村民が議員の代わりを務める総会にも参加できない。法整備されないと実現は難しい」と話した。

 ―総会設置検討を打ち出した理由は。

 「行政、議員レベルでは10年ほど前から議論になっていた。村民に『何かをしないといけない』という考え方に立ってもらいたかった」

 ―反響はあったか。

 「ぜひ実現してくれという首長もいたし、議会制民主主義を尊重すべきという意見もあった。私は議会を廃止し総会を設置すると発言したことは一度もない。しかし、なり手がいないという万一に備える必要はあると考えた」

 「大川村はどこよりも早く過疎化が進んだ。日本の縮図が高知県で、高知県の縮図が大川村だ。反響によって議員不足は地方で共通する課題だと、あらためて感じた」

 ―総会の実現は可能か。

 「現行法では困難だ。地方自治法95条では、総会は町村の議会に関する規定を準用するとある。つまり教員や役場の職員、警察官らは議員になれないのだから、総会の議決の場に入ってこられないことになる。小さな村でそれは現実的ではない」

 「総会は年に1、2回の開催になるだろう。そうすると、首長による専決処分が増えざるを得ない。民主主義の観点から違和感がある」

 ―総会検討表明後の村民アンケートで、20人以上が議会(定数6)に立候補してもいいと答えた。

 「無記名なので楽観すべきでない。ただ政治に対する意識が変化したのかもしれない。総会検討は一定の役割を果たしたと思う」

 ―夜間や休日に議会を開くことで、議員になりやすい環境を、という意見がある。

 「村では各戸に設置されたスピーカーを通し、議会を音声中継している。高齢者は早い人で午後7時ぐらいから床に入るから、夜間議会では迷惑を考えて中継ができなくなる。休日開催も、都市部の勤め人なら参加可能だが、一次産業の仕事であれば曜日は関係ない。どちらも都市部の発想だ」

 ―市町村合併という選択はなかったか。

 「隣町の住民投票で合併反対が勝った。ただ、小さな村にとって合併のメリットはない。公共施設は中心地域にできて、周りはさびれるだけ」

 ―村に点在する16集落を再編する考えは。

 「集落は残すべきだ。みんなその土地に愛着がある。集落の再編は市町村合併よりも難しいだろう。できれば“本気の移住者”にそれぞれの集落に住んでもらい、集落を守ってほしいと思う」

 ―早明浦ダムが村に与えた影響は。

 「自然豊かな大川村というが、子どもたちが川遊びをするときは、わざわざ隣の愛媛県の河原まで行く。おかしな話だ。ダムは四国にとっては『功』の部分が大きいけれど、村にとっては『罪』の部分が大きい」

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