とみつ金時を食べて丸々と育った放牧豚と若手生産者=福井県あわら市

 福井県あわら市特産のサツマイモ「とみつ金時」を、放牧した豚に与えて飼育するプロジェクトに取り組む若手農家でつくる「とみつ」(同市北潟、吉村智和社長)が13日、市内の飲食店で「とみ金豚」を一般向けにお披露目する。栄養満点のイモを食べて丸々と太った豚は想定した通り、やわらかく上々の肉質という。

 サツマイモを餌にした放牧豚は全国的にも珍しい。あわら市富津地区の遊休地2カ所(計5千平方メートル)に6月末、5頭ずつを放牧し、とみつ金時と配合飼料を半々にした餌で育ててきた。体重約40キロだった子豚は食欲旺盛で、1日10キロほどの餌を完食。140~160キロと立派な体格になった。

 飼育してきたメンバーは「豚は金時の味が分かるようになり、予想以上に大きくなった。次第に懐き、猛ダッシュで飛び付いてきた」と振り返った。

 プロジェクトは、畑に残る規格外のクズイモなどを狙って畑を荒らすイノシシ対策として立案した。耕作地は外周約10キロもあるため、侵入を完全に防ぐことは難しいが、吉村社長は「少なくとも耕作地内に設けた、豚の放牧地を囲う柵に対しては、イノシシが近づいた形跡は見られなかった」と一定の効果があったと指摘する。

 来春からは豚を60頭程度に増やし、飼育場所も拡大する計画。プロジェクトに協力する県畜産試験場は、肉質や、さしの入り具合、脂分の融点といったデータを分析し、来期の飼育に生かしたい考えだ。

 とみ金豚は「なん・なん亭」の協力を受け、13日限定で芦原本店(あわら市舟津)でのみ提供する。4頭分の約400キロを仕入れ、トンカツやラーメンの具材などで使用する。数量限定のため、芦原本店、福井西・武道館店、大和田店にある申込用紙で予約が必要。南理槻央社長は「抗生物質を与えておらず安全安心な豚。肉質もやわらかく臭みもない。いい感じに仕上がっている。供給量が増えれば定期的な取り扱いも考えたい」と話している。

 吉村社長は「豚の数が少なく一般販売はまだ先になるが、芦原温泉などを含め飲食店を中心に提供したい。配合飼料も県産に切り替えるなど付加価値を高めたブランド豚を発信していきたい」と話している。

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