【越山若水】米国にスティーブ・アールというシンガー・ソングライターがいる。2002年に発売されたアルバム「エルサレム」はカントリーチャートで最高7位を記録した▼今なお絶えることのない軍事行動や紛争に異議を唱える内容で、タイトル曲はユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地・エルサレムを舞台にした一曲である▼朝起きたらとんでもないニュース。死の兵器が轟音(ごうおん)を上げ市街地を突っ走る。テレビの男は、誰も動けず話もできないと告げる。聖なる地に戦火が上がったようだ▼通りにバリケードや鉄条網が張り巡らされ、人々の手は血にまみれ心から憎み合っている。歌手アールさんは望みを託す。預言者アブラハムの子どもが永遠に武器を置く日が来ると信じている…と▼トランプ米大統領がイスラエルの都市・エルサレムを同国の首都に認定すると表明した。対立する宗教の聖地とされ、中東紛争の火種となった問題にあえて手を突っ込んだ▼イスラエルが歓迎する一方、パレスチナやイスラム諸国は強硬に反発。英国やフランスなど同盟国からも非難の声。国連安保理は緊急会議を開催する▼トランプ氏は「中東和平を追求する新戦略」と言うが、むしろ不穏な空気が流れる。アールさんは歌う。その日が来ると信じている。エルサレムでライオンと子羊が仲良く暮らす日が…。願いは誰も同じだろう。

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