【論説】敦賀半島にある高速増殖原型炉もんじゅの廃炉に向け、運営主体の日本原子力研究開発機構が廃炉計画の認可を原子力規制委員会に申請した。政府の一方的な廃炉決定で地元福井県との調整が難航。何とか了承を取り付け、原子力機構との協定締結にこぎ着けた。だが、廃炉への道は険しく、この先も暗雲が漂う。

 国内で例がない措置だけに全て手探りだ。30年後の2047年度に建物の解体撤去を全て完了するという計画が画餅になる懸念もある。毒性の強い核燃料、扱いが困難な冷却材の液体ナトリウムは取り出し方も搬出先も決まっていない。そのため認可申請は22年末までの5年間限定である。

 その間に後の工程について検討していくというが、通常なら詳細な全工程表を提示する必要がある。いわば「仮免許」のような状況だ。課題山積みの中で、国が県や敦賀市と約束した「安全対策の深化」をどう実行するかである。

 原子力機構によれば、作業期間30年間を4段階に分け、まず第1段階で炉心と炉外燃料貯蔵槽にある計530体の燃料を22年末までに取り出す。2次系ナトリウム約760トンは18年末ごろまでに抜き取り保管するが、タービン建屋解体など第2段階以降の設定は明示されず不透明だ。

 つまり、原子炉などを循環し放射性物質を含んだ1次系ナトリウムの処理が明確でないからだろう。約1670トンのナトリウムのうち、1次系は約760トン。設計当初から廃炉は念頭になく、全量抜き取りを想定していない構造だ。

 ナトリウムは水や空気と激しく反応するため扱いが厄介。過去には廃炉作業中のフランスの実験炉で爆発死傷事故が起きている。

 燃料処理も難題だ。通常のウラン燃料に比べ強い毒性があるウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料は、県外搬出とはいえ青森県六ケ所村の再処理工場では受け入れない。もし海外委託となれば、高額を請求されることになろう。2万6700トンに及ぶ固体廃棄物も行き先不明だ。

 核燃料サイクル政策の中核施設として建設費1兆円超を投じ、運転実績は1年にも満たない。ナトリウム漏れ事故や炉内装置落下、機器点検漏れなどトラブル続き。廃炉総経費は最低でも約3750億円。とても「実証炉へのステップ」として国民を説得できない。

 廃炉作業で大きなリスクを負う県、市は連絡体制の強化を求め、国はもんじゅ廃止措置連絡協議会の設置を表明した。協定書でも逐一報告と説明を要求、必要な場合は具体的な対応を求めることができる。

 未知の廃炉に対する国の一元的責任、実施主体の当事者責任は原発の運転以上に重い。信頼を損なう失敗は許されない。県と市には1992年以来「立ち入り調査権」が確立されているはずだ。95年のナトリウム漏れ事故時には立ち入り調査し、ビデオ隠しも明らかになった。安全で速やかな廃炉へ、毅然(きぜん)とした姿勢で臨む必要がある。

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