のれんを手に往時を振り返る松浦禮治さん=福井県越前市若竹町の城勝湯

 昔ながらの銭湯では福井県越前市内で唯一残っていた公衆浴場「城勝湯」(じょうかつゆ)=若竹町=が、このほど廃業した。地域住民の憩いの場、生活に欠かせない存在として、55年にわたり親しまれてきた。常連客からは「毎日の楽しみだったので残念」と惜しむ声が聞かれる。

 開業は1962(昭和37)年。松浦禮治さん(79)、繁子さん(82)夫妻が経営し、ピークだった昭和40年代は1日当たり約200人が訪れた。集合住宅を含めてほとんどの家に内風呂が普及したことなどに伴い、客数は近年減ったが、それでも高齢者を中心に50人ほどの利用があった。

 禮治さんは毎日、昼前からボイラーのある「釜場」で湯を沸かす作業に当たってきた。おがくずが燃料の旧式のため、温度を上げるのに時間がかかったという。繁子さんは番台や掃除を担当。定休日は週1日、連休は1年のうち元日と翌日の2日間のみで、夫婦2人で切り盛りしてきた。

 製材所からおがくずを調達する作業など、体力の衰えを感じる場面が増えた禮治さんだが、「まだ2、3年はやりたい」と考えていた。しかし今年7月、繁子さんがのれんを下ろす際に椅子から転倒。尾骨にひびが入るけがを負い、番台に長時間座れなくなった。2人がそろわないと運営は難しく、悩んだ末に9月初めに廃業した。

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