【論説】漢方薬の原料となる薬用植物の栽培、商品化に取り組んでいる高浜町の住民グループ「青葉山麓研究所」。試行錯誤を重ね、とうとうゴシュユという植物を漢方薬の材料として商品化することに成功した。販売ルートの開発などの難問を、関係者の懸命な努力でクリアした結果で「高浜を薬草のメッカに」という壮大な展望に光が見えてきた。

 同研究会は町の呼び掛けで、自然豊かな同町の青葉山麓の環境をまちづくりに生かそうと2013年に発足した。同山の周辺には多彩な薬用植物が自生し、植物研究家が全国から集まってくるほど。これを経済活動に結びつけようと、薬草の栽培、商品化を事業の大きな柱に据えた。

 薬草を安定的に販売するには、製薬会社などに漢方薬の材料として買い取ってもらうのが一番だが、これを実現するにはさまざまな課題がある。

 材料を生薬というが、薬草を生薬にするには成分、加工法などに厳しい規制がある。生薬の大部分は中国からの輸入ものだが、これに匹敵する価格にするには人件費、耕作面積などで圧倒的に不利。国は、国内で消費する生薬の国産化50%をうたっているが、ほかにも課題は山積しており極めて困難なのが現実だ。

 また近年、全国各地で生薬の商品化に取り組んでいるが、大半の生薬の栽培・加工技術は近代に入り途絶えており、どこの地域でも手探りなのが現状という。

 同研究所では、漢方薬に詳しい東京生薬協会や北里大などの協力を得て、生薬に関する情報や栽培法確立、成分分析、販売ルートの開発など、意欲的な取り組みを続けている。定期的に専門家を招くなどしており、メンバーの知識は既に玄人の域だ。

 これが実り、ゴシュユが京都府の生薬問屋に買い取られることになった。製薬会社だと保険適用のエキス剤に使うため、仕入れ値を低価格に抑える傾向にある。しかし問屋で扱う生薬は医師が処方し煮出して使う本格的な漢方薬として使われるため、品質さえ良ければ単価が高めに設定できるメリットがある。

 生薬の販売は大きな一歩だ。同研究所ではほかの薬草の生薬化とともに、ノウハウの“輸出”も視野に置く。また茶や食材など薬ほど規制の強くない商品への活用も模索している。外への販売だけでなく、町民が薬草に親しむことで地域への誇りや愛着を育むことも目指している。

 メンバーの努力は感嘆するばかりで今後が大いに期待されるが、さらに発展させるには民間の力だけでは資金面など限界がある。産官学の力を結集させるためにも、行政の後押しが欠かせないだろう。

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