福井県高浜町内8カ所を巡回診療している井階友貴さん(左から2人目)。病状だけでなく、暮らしの悩みを相談する場にもなっている=10月、同町の関屋集会所

 「立ち上がるときに膝から下が痛いんや。ええ体操を教えてほしいわ」。間口義一さん(71)の問いかけに、福井県高浜町国保和田診療所の医師、井階友貴さん(37)は「お風呂に入ったらゆっくり筋肉を伸ばしてみてくださいね」。

 同町の関屋集会所。持病がある高齢者7人が井階さんの診察を受けた。「ナンテンの木を切ってたら、ひっくり返ってしもた。足は痛いし、頭にはこぶができた。木を切るのに人を頼んだら金がいるしな」。80代の女性には「そうですね。でもあまり無理せんといてね」。

 井階さんは毎週火曜日、町内8カ所を1カ所ずつ巡回診療している。間口さんは「日ごろの生活についても時間をかけて聞いてくれる。病院ではこうはいかないから、本当にありがたい」と話す。

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 「人と人の関係性の中で医療を提供したい」

 井階さんは地元兵庫県の総合病院の内科医を辞め2008年、同診療所にやって来た。

 受け入れ側の高浜町は医療崩壊の危機に直面していた。00年には13人いた医師が、08年には5人に減った。地域医療の再生を目指す町と、井階さんの思いが一致した。

 県内の医師数は、実は増加している。04年の1672人に比べ、14年は1896人で13・4%増。ただ嶺南地域は5人減、奥越地域は6人減。県内で「無医地区」またはそれに準ずる地区は10カ所あり、高浜町など嶺南地域で8カ所を占める。10万人当たりの医師数も福井・坂井(福井、坂井、あわら市、永平寺町)は339・1人だが、嶺南は164・2人、奥越になると113・7人と、地域間格差が広がっている現状が浮かび上がる。

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