夷子大黒綱引き=2014年1月19日、福井県敦賀市相生町

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 越前市で江戸時代から続く2月の「ごぼう講」は、羽織袴(はおりはかま)の男衆が大量のご飯とごぼうをたいらげる奇祭だ。参加世帯が毎年順番に会場を移して開く。今年担当した冨田敏幸さん(67)は、ごぼう300キロ、米45キロを用意。前日の料理の下準備では、近所の人や親戚を呼び、約40人で作業を行った。調理するのも男だけだ。

 佐賀県出身の冨田さんは30代で国中に養子にきた。初参加のときは次々に酒をつがれてふらふらになったが、「これで自分も国中の一員なんだと感じた」と話す。

 現在は約50戸で当番家を回している。冨田さんは「当番は大変だけど、集落には団結力がある。福井豪雨で床上浸水した家もあったが、泥水や土砂の撤去などみんなで助け合った」。ただ国中も若者の流出が進む。冨田さんの一人息子は音楽の道に進み上京。「帰る予定はない」と言われてしまった。

 伝統行事の継承のため地域外から助っ人を集める動きは全国各地で起きている。福井では、若者の力を生かして地域活性化に取り組む県の「ふくい若者チャレンジクラブ」の大学生らが活躍。今年、あわら温泉春まつりやじじぐれ祭り(福井市)など七つの祭りに、2年前の4倍となる計88人が参加した。

 金田さんは「助っ人の若者たちは祭りを守る人たちの思いや伝統を、集落の高齢者らは若者の新しい考えを知る。人の交流が、地域再生につながる可能性がある」と話す。

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