【越山若水】「御製(ぎょせい)」とは、天皇陛下が手ずから詠まれた短歌のこと。宮内庁のホームページには、これまで陛下が折に触れて作られた歌が載っている。そこから2首紹介する▼「被災地の冬の暮らしはいかならむ陽(ひ)の暖かき東京にゐて」。東日本大震災の被災地を2年続けてお見舞い。2013年は皇居から被災者に思いを寄せられた▼「爆心地の碑に白菊を供へたり忘れざらめや往(い)にし彼(か)の日を」。14年には長崎国体ご出席の折、惨禍を忘れてはならないとの強い思いを込め、記念碑に献花された▼御製を振り返るまでもなく、陛下が地震や豪雨などの災害地域に足を運ばれ、ひざまずいて人々をいたわるお姿を何度も目にしている。先の大戦の傷跡を癒やすように幾度も国内外の史跡に立たれた▼傘寿を超えるご高齢ゆえ、度重なる公務はさぞかし過酷だろうと、陛下の健康を案じた。昨年8月に表明された生前退位のメッセージも「むべなるかな」の思いで拝聴した▼天皇陛下が退位される日が決まった。19年4月30日、この日をもって「平成」の時代は幕を下ろす。翌5月1日には皇太子さまが新天皇に即位される▼生前退位は江戸後期以来約200年ぶりというが、国民の受け止めは優しい。「もう無理はなさらないで」「今後はごゆっくり」。1年4カ月後には、ぜひ趣味の相撲観戦や魚類のハゼ研究をお楽しみください。

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