今年2月にオープンした公設給油所。セルフ式だが高齢者も慣れた様子=11月、和歌山県すさみ町

 「公共事業が終わった後のことを考えると、どうしたらいいか見当つかないね」。11月中旬、閉店後の事務所で藤本浩利さん(57)=池田町=はつぶやいた。夫婦で営む町内のガソリンスタンド(給油所)は、工事車両への給油が売り上げの半分以上を占める。町内ではダムとトンネルを建設中で、ダムは2026年度に運用開始予定。トンネルは22年度の開通を町などが国に要望している。「やれる限りは続けていきますよ」

 経営難で廃業する給油所が全国で増えている。背景にあるのは、人口減やエコカー普及によるガソリン需要の低下。11年施行の改正消防法で、老朽化した地下タンクの改修や交換が義務づけられたことも拍車を掛けた。

 経済産業省によると、ピークの1994年度末は6万カ所を超えていたが、2016年度末には約3万1千カ所と半減。福井県石油業協同組合によると、加盟企業が管理する給油所は1995年度末の518カ所から今年10月末時点で207カ所に。池田町には非加盟を含め5カ所あったが、昨年度末までに3カ所に減り、8月にはさらに1カ所閉鎖された。

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 雪深い池田町ではストーブが欠かせない。屋根の融雪装置や石油給湯器の普及率も高く、1人暮らしの森下増子さん(73)は月に1回、灯油の配達を藤本さんに頼んでいる。「給湯器の点検もしてくれて安心感がある。今立や武生まで買いに行かないといけなくなったら大変」。車は持っているが、「ずっと運転できるわけではないし…」。

 町内で灯油を取り扱うのは給油所のみ。町の高齢化率は約43%(9月末時点)で、町総務政策課は「生活必需品が身近で調達できなくなると、お年寄りの多い池田町では特に影響が大きい」と指摘する。

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