大きく割けたようにコンクリートが剝離した橋の裏面=福井市内

  ■  ■  ■

 コンコンコン、カン―。福井市道路課の職員が、金づちで橋の裏面をたたいていくと、突然音が変わった。「ここコンクリートが剝離してるね」。露出している鉄筋は、赤黒くさびている。「(メンテナンスがいらない)永久橋と呼ばれた時代もあったそうですけど」と職員は苦笑する。

 1950年代に木橋からコンクリート・鉄橋への建て替えが本格化。永久橋と呼ばれ維持管理は軽視された。2000年代もその傾向は続いたが、12年に中央自動車道笹子トンネル天井板崩落事故で9人が亡くなったのを受け、国土交通省は14年、橋(2メートル以上)、トンネルの5年ごとの点検を道路管理者に義務付けた。

 県内には橋1万133本、トンネル264本がある。県管理の橋2363本のうち、更新目安の50年超は30%を超える。「全てを補修するのは予算的に無理。捨てる橋も出てくる」。福井工大の谷脇一弘教授(橋りょう工学)は、維持するインフラの取捨選択の時代が迫っていると警鐘を鳴らす。「例えば通行の少ない橋を切り捨ててでも、より重要度の高い橋を守る対策が必要」とする。

 蛇口をひねれば水が出る。安心して橋を渡れる―。そんな日常が当たり前ではなくなる可能性がある中、岐阜県や兵庫県などでは、市民有志が「橋守隊」「道路見守りサポーター」を立ち上げ、インフラの劣化を監視するといった取り組みが進む。異常があれば、道路管理者に情報を提供する仕組みだ。谷脇教授は「県内で大きな老朽化事故が起きない保証はない。職員が不足する中、住民で地域のインフラを守る時代に来ている」と話した。

関連記事