【論説】関西電力大飯原発3、4号機の再稼働について、西川一誠知事が同意した。関電は来年1月と3月に3、4号機を相次ぎ稼働させる計画だ。高浜3、4号機は既に再稼働。これに各118万キロワット出力の大飯2基を稼働させれば、原発依存度の高い関電にとって経営改善が一段と進む。

 しかし、原発の安全性に対する県民の懸念は強い。福井新聞社の世論調査で、40年超運転に反対の29・8%を含め原発廃止を求める意見は51・8%と過半数に達する。1県内で近接する原発の稼働は東京電力福島第1原発事故後初めてであり、住民避難体制もまだ不十分なままだ。

 規制委との「ダブルチェック」を独自に実施している県原子力安全専門委員会は先日「工学的な安全性を確保するために必要な対策は確保できている」との報告書を知事に提出した。1年半にわたる審議と現地視察による検証は他の立地県に比べても先進性がある。

 ただ、あくまで工学的な観点による「県に向けた」検証結果であり、住民避難体制に対するチェックなどソフト対策は素通りだ。

 原子力政策は国に一元的責任があるにもかかわらず住民避難は地域防災計画に沿って自治体が担う。広域避難には国が関与するが、原発災害は全て国が責任を持つべきだ。それを第三者機関が客観判断する健全なシステムが必要であろう。

 さらに、約14キロしか離れていない大飯、高浜両原発での同時発災は想定されておらず、福井、京都、滋賀の3府県と国などによる10月の「地域原子力防災協議会」でも棚上げした。

 中川雅治原子力防災担当相は「同時発災があっても対応できる計画」との認識を示した。本当なのか。防災拠点の配置やオペレーションの在り方など課題は多く、楽観的な判断で住民を守れるはずもない。関電の訓練も形式的だった。

 大飯原発をめぐる難関は基準地震動(耐震設計の目安とする揺れ)。2014年5月、住民の運転差し止め訴訟で福井地裁が地震対策や構造的欠陥を厳しく指摘、運転を差し止めた。

 名古屋高裁金沢支部での控訴審でもこの過小評価が争点だった。元規制委員長代理で大飯2基の地震対策を審査した島崎邦彦氏は証言で、関電の地震想定の欠陥性を指摘している。

 懸案の使用済み燃料の中間貯蔵施設の県外立地は、関電が「18年に具体的な計画地点を示す」と明言したことで、表面上は大きく前進した感がある。

 国も責任を持つというが県が歓迎する好材料だろうか。どこへ、どのように貯蔵し、住民不安にどう対処するのか。全国原発にたまり続ける使用済み燃料処理に国はどう関与し、責任を持つというのか。不確定要素が多くとても同意条件をクリアした状況にない。

 最も問題なのは、安全性を盛んに強調しながら地元以外に説明会を開こうとしない関電の閉鎖的体質だ。なぜ胸を張って県民説明会ができないのか。「地域共生」の本質が問われる。

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