台風21号で損壊して回収された養殖いけす=福井県小浜市

 冬の味覚「若狭ふぐ」が10月下旬の台風21号の被害により大きなダメージを受けている。養殖業を営む民宿が多い福井県小浜市内外海地区では、暴風雨による高波や漂着物によって養殖いけすが損壊。フグシーズンが始まる間際に痛手を負った民宿経営者は「3月末にはフグが足りなくなるかもしれない」と不安を募らせている。

 小浜市漁協によると、台風が接近した10月22~23日、高波と漂着物が海上の養殖いけすを直撃。海面の木製枠が破損したり、いけす同士がぶつかり合ったりしてフグの体が網にこすれ、大量に死ぬ被害が出た。同市内では阿納、西小川で10軒がフグ養殖を行っており、計約7万1千匹のうち残ったのは約4万2千匹だった。

 家族で民宿と養殖業を営む河原正和さん(41)=同市=は、フグ用のいけす5基のうち3基で2年もの、2基で1年ものを養殖していたが、2年もの用のいけすで生存したのは2千匹の半数ほど。来季に使う1年もの用も1基が流され、3500匹のうち1200匹しか残らなかった。

 今季の2年ものは体長30センチ、重さ1キロになるフグもいて「順調だと期待していた矢先だった。民宿も営む養殖業者とって数百万円の損害になる」と肩を落とす。中には大半のいかだが損壊した業者もおり、地元のベテランでも「こんな被害は初めて」という声が上がっているという。

 河原さんは「当分は大丈夫だが、3月末のシーズン終わりごろには足りなくなるかも。生き残ったフグの質は問題ないので、地元の業者同士で融通し合って何とか若狭ふぐのブランドイメージを守りたい」と話した。

 小浜市漁協などによると、同市西小川でも同様の養殖フグの被害を受けたほか、市内一帯で定置網漁にも被害が出ている。市漁協は県や市などと養殖業者の救済措置を協議していく。

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