【論説】「法令に基づき適正に処理」という政府説明に疑問符が突き付けられた形だ。

 学校法人「森友学園」への国有地売却で、ごみ撤去費用として8億円余が値引きされた問題を巡り、会計検査院は、国による処分するごみの算出量が過大で根拠が不十分とする報告書を国会に提出した。

 この問題では、安倍晋三首相の昭恵夫人が国有地に建つ予定の小学校の名誉校長に就任。学園前理事長の籠池泰典被告は国会で「神風が吹いた」と証言している。昭恵氏とのつながりが国有地売買交渉に影響を及ぼしたとされる疑惑は解明されないままだ。

 27日から始まる衆院予算委員会などで野党は検査院報告を基に追及を強める。首相は、野党が第三者を入れた調査委員会の設置を求めたのに対して「検査院が調査する」と突っぱねてきた経緯もある。夫人の名誉校長就任で「疑念の目を向けられたとしても、もっともだ」とも述べている。ならば昭恵氏や、適正処理を強調した前財務省理財局長の佐川宣寿国税庁長官らの国会招致を認めるべきだ。

 森友学園は2015年5月、大阪府豊中市内の国有地の借地契約を国と結び、翌年3月に地中からごみが出たと、担当する財務省に伝えた。その際、買い取りを持ちかけ、財務省から依頼を受けた土地所有者の国土交通省大阪航空局がごみ撤去費を算出。土地の評価額9億5千万円から撤去費8億2千万円を引いた1億3千万円で売却した。

 大阪航空局が敷地全体でごみが47・1%の割合で混ざっているとしたのに対して、検査院はごみが出ていない試掘地点もあるとして、実際の処分量は3〜7割だった可能性があると指摘。「適正に処理」とかけ離れたずさんな値引きと言うほかない。

 国会で「適正な価格」を強調した佐川氏は、面会や交渉記録は廃棄したと詳しい説明は避け続けた。昭恵氏については夫人付の職員が、籠池被告と財務省を仲介するような役割を果たしていた。

 借地契約に関しては、籠池被告に「特例」と説明した財務省幹部の音声データもある。さらには、財務省近畿財務局の担当者が売買契約を前に、学園側に買い取り可能額を問い合わせていたとの証言や、籠池被告と売買価格を話し合ったとみられる音声データの存在も判明した。

 「ゼロ円に極めて近い形で払い下げを」と迫る籠池被告に、財務局側が「1億3千万円を下回る金額は提示できない」と返答するなど、生々しいやりとりが録音されている。

 国有地の不当廉売は、大阪地検特捜部が市民団体の告発を受け背任容疑などで捜査。不正に交渉記録を廃棄したとされる件では、公用文書毀棄(きき)容疑などの告発も受理したが、捜査は長期化する可能性もある。

 首相や政府は「捜査中」を言い逃れにする懸念もある。首相が度々強調してきた「丁寧に説明する」は国民との約束でもあることを忘れてはならない。
 

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