頬の両側にえくぼ(矢印)が入った八坂神社蔵「十一面女神坐像」=福井県越前町の織田文化歴史館

 えくぼを持った女神や、都の仏師の作とみられる繊細な彫り―。福井県越前町織田文化歴史館の企画展「異人探究 泰澄十一の疑問」で展示されていた平安末~鎌倉初期の町内の木彫像2体が、創作の特異さや精度において文化財的価値が高いとの指摘が国内専門家から出て注目を集めている。

 ⇒【写真】林光寺本尊の「阿弥陀如来立像」

 同町天王の八坂神社蔵「十一面女神坐像(ざぞう)」(県文化財)と、同町大谷寺の林光寺本尊で今回初公開となった「阿弥陀如来立像」。白山開山1300年を記念し同町織田コミュニティセンターで18日開かれた講演会で、仏教美術史に詳しい帝塚山大(奈良市)の杉崎貴英准教授が指摘した。

 八坂神社の像は像高62・5センチ。本体は唐装束をまとった女神の坐像だが、頭の冠から上は十一面観音像の形をして荒彫りで表現される。女神と十一面観音像が合体する国内でも珍しい特徴を持っており、神仏習合思想を背景に白山の女神を表す像との見方が強いという。さらに今回、杉崎氏が注目するのは頬の両側で、えくぼがうっすらと表現されている点だ。

 えくぼが刻まれた古い時代の彫像は珍しく、国内で確認されるのは鎌倉期以降。吉野水分(みくまり)神社(奈良県吉野町)蔵の1251年の作「玉依姫命(たまよりひめのみこと)坐像」(国宝)が有名で、県内でも若狭神宮寺(小浜市)蔵の鎌倉期の女神坐像が知られる。八坂神社の像は平安末~鎌倉初期の作と推定され、「えくぼを刻んだ彫像としては国内最古の可能性がある」とみている。

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