【論説】沖縄県内で若い米兵による飲酒運転事故が発生。那覇市内の男性が死亡した。飲酒事故は福井県内でも日常的に起きている。だが、基地の島には決定的な違いがある。不平等な日米地位協定によって日本政府の権限が及ばず、事実上「二つの国」が存在するのだ。理不尽な事故が相次ぎ、県民は安心して暮らせない。

 交差点で起きた車同士の衝突事故。運転していた在沖米海兵隊員から基準値の約3倍のアルコールが検出され、過失運転致死と酒気帯び運転の疑いで逮捕された。米兵の米軍トラックが赤信号を無視して進入したとの目撃証言もある。

 事故が起きたのは19日午前5時25分ごろだ。トラックは軍の公用車だった。米軍は「公用外」としているが、なぜこんな早朝に運転していたのか。「基地内で酒を飲んだ」と話しているというが、軍管理の車を勝手に基地外に持ち出したとも考えられる。

 米軍は財産権を盾に、早々に車を回収した。そこから見えてくるのは沖縄軽視の悲しい現実だ。

 在沖米軍トップは翁長雄志(おながたけし)知事に「心からの謝罪」を伝え、知事は「米軍の対策は極めて不十分だ」と強く抗議した。事件を受けて在日米軍司令部は、日本に駐留する全ての兵士に飲酒を禁じる措置を取り、沖縄の米兵に対して基地と自宅以外の出入りも禁じた。

 そんな対応で県民が納得するだろうか。制限の期間は明示されず、時間がたてば措置は緩和され、また同様の事故が起き得る。菅義偉官房長官は米側に再発防止の徹底を求めると同時に「政府として累次にわたり申し入れてきた」と厳しい態度を見せたが、要請はこれまで何の効果も出ていないのではないか。

 地元紙は今年に入り米軍関係者による飲酒運転摘発は少なくとも16件発生していると伝える。昨年4月には、元海兵隊員で軍属の男が女性を殺害。1カ月の「服喪期間」を設けたが、その間にも飲酒事故が発生しているのだ。飲酒の米兵による殴打や民家への侵入事件なども相次ぐ。

 先の衆院選で、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設反対を掲げる野党系の勢力は4小選挙区中3議席を確保した。前回同様の独占はならず、基地を巡って民意は揺れているようにもみえる。

 しかし、選挙から2週間後、沖縄防衛局は新基地建設へ新たな護岸2カ所の造成工事に着手した。日米首脳会談が行われるわずか3時間前のことだ。安倍政権による日米同盟の深化は、「沖縄無視」と表裏一体にある。県が地位協定の見直しを求めても運用の改善や補足協定で済ませ、「辺野古移設が唯一の解決策」と繰り返すばかりだ。

 国土の1%にも満たない沖縄には国内の在日米軍専用施設の約70%が集中する。大型輸送ヘリの事故も相次ぎ、戦火にまみれた島は平和と安寧の願いとは程遠い。県民の怒りは増幅され、米軍基地配置の抜本的見直しを求める要求がさらに強まることになろう。

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