盛り付けした料理を新しい給食カートに入れる職員=福井市の福井県立病院

 福井市の福井県立病院は、食中毒を引き起こすノロウイルスなどを死滅させる新しい機能を持った給食カートを業者と共同開発し、運用を始めた。85度以上の高温で90秒以上再加熱できるカートで、焦げや水分の過度な蒸発などを防ぐ加熱制御ソフトも同時に開発。対応する食器も新しく作り出した。より安全で温かい食事が提供でき、入院患者からも好評だという。同病院によると、ノロウイルス対応の給食カートは全国初。

 同病院では加熱調理した食材をいったん急速冷却し、提供前に再加熱する方式を採用している。従来カートの再加熱機能は食中毒を引き起こす多くの菌が死滅する75度以上で60秒以上。しかし感染力が強いノロウイルスは死滅せず、これまでは盛り付け時などに細心の注意が必要だった。このリスクを排除しようと、約2年前からエージーピー(本社・東京)と新機能の開発を進めていた。

 同病院では常食、嚥下(えんげ)食、離乳食、糖尿病食などを提供しており、メニューは主菜、副菜、汁物で580種類。カート1台には24人分のさまざまな種類の食事が入る。85度以上、90秒以上を維持しつつ、すべてを一度に同じ温度、時間で再加熱すると、焦げたり、蒸発で水分が不足したりして食味を損なうメニューもあったため、主菜、副菜、汁物などに応じ加熱を制御するソフトも作った。

 食器に盛る量によっても加熱具合を変える必要があり、伝熱力が異なる機能性食器も鯖江市の下村漆器店と連携して開発。皿や小鉢、トレーなどが出来上がった。

 同病院で稼働している給食カートは50機以上あり、10月末時点での新カートは21機。今後全てを新カートに移行予定だ。栄養管理室の小寺由美次長は「毎日の食事こそが健康のために一番重要。患者の病名や症状に合わせて作られている。安全でおいしい病院食を食べてほしい」と話した。入院患者の女性(35)=福井市=は「5年前に入院したときと比べると、熱々でおいしくなった。衛生面が向上しているのも安心できていい」と話していた。

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