落語を通じて過労死防止を訴えた厚労省のシンポジウム=19日、福井市の響のホール

 過労死ゼロを目指した「過労死等防止対策推進シンポジウム」が19日、福井市の響のホールで開かれた。過労死をテーマにした創作落語が上演され、約100人の参加者は笑いを交えた人情話を通じて過労死を身近な問題として考えていた。

 11月の過労死等防止啓発月間に合わせ、厚生労働省が全国で開くシンポジウムの一環。落語家の桂福車さん(56)が、過酷な労働を苦に自殺した青年が登場する落語「エンマの願い」を演じた。演目は上方落語の作家らでつくる「笑工房」(大阪市)が、関係者らの取材を基に創作した。

 システムエンジニアだった青年が、地獄行きか天国行きかの裁きを受ける前にオニたちに自殺の理由を説明するシーン。過労死ラインを上回る労働時間に残業代不払いの職場環境に、思わず「オニやな…」とつぶやくオニたち。労働にまつわる法律の知識もちりばめながら、オニたちは青年に「会社に命まで預けんでいい」「お前、もうちょっと権利意識を持て」などとお説教までしてしまう。

 「娑婆(しゃば)で十分に地獄を味わった」というエンマ大王の計らいで青年が天国に旅立った後、急増する過労死の亡者への対応でオニたちは忙しくて過労死寸前。人情と笑いが込められた展開に、参加者は大きな拍手を送っていた。

 シンポジウムでは、県内中学校の新任教諭だった息子が長時間過重労働によって自殺し、昨年に公務災害と認定された父親の嶋田富士男さん(57)が発言。「親として息子の死を今も受け止めることはできない。救えたはずの命、皆さんはどう思うか」と会場に問い掛けた。

 過労死等防止対策全国センター代表幹事の森岡孝二・関西大名誉教授は「長時間労働だけでなく、若者の過労死に共通する特徴はパワハラ」と指摘。▽自分の労働時間を記録する▽黙っていないで声を上げる▽何かあれば労基署に相談する―などのアドバイスを送った。

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