初の画文集を出版した菴連也さん(左)と母の有紀子さん=28日、福井県坂井市春江町

菴さんが出版した画文集「ロボブーマー」の表紙

 国内で10例程度しか確認されていない難病を患いながら、絵を描いている福井県坂井市春江町の菴連也(いほり・れんや)さん(16)=福井特別支援学校高等部2年=が、初めての画文集「ロボブーマー」(風濤社)を出版した。ロボットや不思議な生き物たちと、自然や人間が共生する世界を生き生きと表現し、「感動と勇気を与えてくれる」と好評を得ている。26日に同市のアミで出版発表会を行う。

 菴さんは、生後間もなくから発熱や嘔吐、激しい関節痛などに悩まされ、入退院を繰り返した。8歳の時に遺伝子変異が原因の「高IgD症候群」と診断された。周期的な発作や、治療で使うステロイドの副作用の成長障害にも悩まされ、自力で立てない時期もあった。

 絵は3歳ごろから病院の食事表の裏などに描き始め、10歳ごろから本格的に取り組んでいる。県内や東京、京都で個展を開いたほか、企業の環境報告書の表紙などに作品が採用されている。

 菴さんの作品に共感し、個展開催などを支援している貿易会社経営の伊藤雄三さん(69)=三重県出身、米ロサンゼルス在住=が、出版社と橋渡しし、画文集の制作が決まった。これまで描きためた作品や新たに描き下ろしたものから18点を選んだ。

 自分の体験などから想像を膨らませ、下描きなしにペンで輪郭を描き、水彩色鉛筆などで着色する。ユーモラスなキャラクターと明るい色使いが特長だ。画文集に収めた「ダーリーの誕生会」は、友情をテーマに、眼鏡を掛けたロボットのために、仲間のロボットたちが部屋を飾り付ける様子を描いた。車いすを押すロボットや、恐竜、ツチノコからイメージした生き物が登場する作品もある。

 菴さん自身が一つ一つの作品の世界を紹介した文章に加え、海外に発信したり、英語の勉強に使ったりできるように英訳を添えている。

 伊藤さんは「力強いロボットたちは連也さんのメタモーゼ(化身)に思える。人口減少、高齢化社会で貢献してほしいという願いが込められており、人間と共存している姿は未来を予測しているようだ」と称賛する。

 菴さんは、3、4年前から使い始めた新薬の効果で、症状が劇的に改善した。身長も伸び、大きなスケッチブックを使えるようになった。今は医療福祉関係の仕事に就くことを目標にしており、「絵には、見る人と自分の世界を共有できるすごい力がある。これからも自分自身が絵を楽しむことを大切にして、見る人を笑顔にできるように描き続けたい」と話している。

 ロボブーマーはA5横判、64ページで1512円(税込み)。県内主要書店やインターネット通販で扱っている。26日午後2時からの出版発表会では、画文集の原画を展示する。

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