【越山若水】小社前には信号機のない横断歩道があって時折使う。大抵の車は当方に目もくれず行き過ぎる。速度も落とさずに。で、渋滞以外にすんなりと渡れたためしがない▼2車線だから、こちらは反対車線の切れ目も見計らって小走りで渡る。近づく車に軽く手を挙げたりもする。あいさつのつもりだが露骨に迷惑顔をする人も…▼普段は運転する側にいるので憤る資格はないかもしれない。が、大原則は歩行者優先。横断歩道では車は停止しなければならない、と道路交通法で決められている▼もやもやしているとき、朝日新聞に寄稿された一文を読んだ。筆者は英国出身の名城大准教授で、この横断歩道問題を心配していた。東京五輪で外国人が事故に遭うだろう、と▼英国でも豪州でも、横断歩道では車は必ず止まる。せめて五輪年だけでも、歩行者優先を徹底するか「日本では横断歩道で車はとまりません」と周知すべきだ、と提言している▼後者は英国人ならではの痛烈なジョークに違いない。法治国家であるはずの日本が無法状態を容認しているのを、世界中に広言できるはずがない▼取るべき対策は一つ。とはいえ、厄介な問題である。きちんと車を止めたら、後続車が追い越してきて横断者がはねられそうになった。だから下手に止まれない、という人も多い。まじめで繊細な国民性が裏目に出ているのだろうか。

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